台風15号の影響で、千葉県を中心に大規模停電が続いている。全面復旧は13日以降になる見通しだという。猛暑が続く中、エアコンや冷蔵庫も使えない住民も多い。一刻も早い復旧を願いたい。
9日に首都圏を襲った台風は、千葉市で瞬間最大風速57・5メートルを観測する記録的な暴風となった。送電線の鉄塔が倒壊したほか各地で電柱や電線が損傷した。停電は最大約93万戸、12日夜の段階でも29万戸に及んでいる。東京電力によると、停電は台風によるものとしては戸数、期間とも過去最大級だという。山間部の電柱などに想定を超える損傷があり、復旧が難航している模様だ。
電力会社などによると、送電線が切れても迂回(うかい)ルートでの送電は可能だという。だが、電柱や送電線の寸断があまりに多いと復旧が追いつかないことがある。それほど、台風15号の威力は強大だったということだ。
停電で浄水施設が稼働しなくなり、約3万戸が断水したままだ。水などのライフラインが電気によって支えられている現実を、改めて突きつけられた。
台風による大規模停電はこれが初めてではない。昨年9月の台風21号では関西電力管内で延べ220万戸が停電した。山間部を中心に倒木などで道路が寸断され、全面復旧に17日間もかかった。関電は検証で、停電が長引いた一因は道路を管理する自治体との連携がスムーズでなかったためとし、無人小型機による被害状況把握や障害物除去のための重機の導入が必要と結論づけた。
迅速な復旧にはいち早く現場に駆けつけることが重要だとの教訓だろう。自家発電などで復旧までの時間を乗り切る工夫も必要だ。台風21号による停電で山間部の浄水場が停止し約570世帯が最長3日間断水した京都市は、浄水場へ非常用発電機の増設を決めている。面復旧後、速やかに検証することが求められる。
自然災害の被害は年々大きくなっている。従来の想定を変更しなければならないのではないか。昨年9月の北海道地震による全域停電(ブラックアウト)後、経済産業省の研究会は蓄電池を組み合わせた地域の再生エネルギー活用モデルの構築や家庭用太陽光発電の災害時利用などを提言した。大規模送電に頼りすぎないライフラインのあり方を考えていくことも重要な備えである。(2019.9.13(金) 13:00配信 京都新聞)
千葉県の停電の全面復旧はエリアによっては1週間以上の時間がかかるとの発表がありました。政府が発表している首都直下地震でのライフライン復旧日数は電気が6日となっています。台風15号の被災で1週日以上の日数を要する事態の今、この想定には信憑性が全くありません。国・県等の自治体及びライフラインを担っている全ての企業は早急に発災時の復旧体制等を見直す必要があります。