阪神・淡路大震災は、25年後の経済や人々の行動にどんな影響を及ぼしたのか。被災をばねに成長を遂げた企業が目立つ一方、地震への「備え」の一つである保険や共済への加入状況は低調なことが分かってきた。

被災した中小企業が、被災していない企業よりも売上高を伸ばしている――。みなと銀行(本店・神戸市)が震災25年を機に、地元企業の歩みや変化を調べようと、兵庫県内の中小企業に実施したアンケートから、そんな結果が出た。

対象とした1854社のうち、1375社が回答。工場や店舗の損壊などの「直接的被害」や、取引先が被災して受注が減ったといった「間接的被害」を合わせると、被害・被災「あり」は50・4%に上った。一方、被害・被災「なし」は35・5%だった。

被災した企業では25年前と比べ、売上高が3割増になったと答えたのが28%、倍増以上が14%で計42%を占めた。それに対し「被災なし」の企業は3割増が17%、倍増以上が8%の計25%で17ポイントの開きがあった。

「経営者も従業員も、被災から立ち上がるぞという意識で邁進(まいしん)し、営業を拡大してきたと解釈できるのではないか」。アンケート結果の分析を担当した県立大大学院の加藤恵正教授(経済学)はそう指摘する。「東日本大震災の研究でも、被災しなかった人や大きなダメージを受けた人に比べ、ある程度の被害を受けた人の方が希望を持っている割合が高かった。それが裏付けられた」

アンケートでは、今後の大規模災害への有効な対策も尋ねた(複数回答)。「建物の耐震化」39・4%▽「災害訓練の実施」26・2%▽「取引先の分散」25・1%などと続いたが、「地震保険への加入」は13・1%と低かった。(2020.1.23(木) 9:58配信 朝日新聞DIGITAL)

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