この春から店頭販売が始まった乳児用の液体ミルク。国内初の販売ということで子育て世代からの反応が注目されていたが、売り上げはメーカーの予想を上回る好調ぶりだ。

ハフポストの取材に対して、江崎グリコは「当初の見込みの3倍程度」、明治は「発売前の計画の2倍」の売り上げと回答した。液体ミルクの販売が許可されているのは、国内ではこの2社のみ。

外出時・深夜の授乳に大活躍。駅ナカの売店での販売も

人気の理由は、外出時や夜間の授乳に便利な点だ。外出時の授乳は、授乳室を見つけなければならなかったり、粉ミルクを持ち歩くにしてもお湯や湯冷まし用の水筒・計量スプーンなど調乳グッズを持ち歩かなければならなかったり、と苦労が多い。しかし、液体ミルクならば、哺乳瓶に移し替えてそのまま赤ちゃんに与えることができる。江崎グリコ・経営企画本部の青山花さんによると、子育て中の親から「泣いている赤ちゃんにすぐにミルクをあげられる」「お出かけの荷物が減った」など便利さを評価する声が多く届いているという。

江崎グリコでは現在、外出中にさらに手に取りやすいよう、駅ナカの売店や自動販売機などにも販売経路を拡大している。また、液体ミルクは、夜間の授乳の負担も軽減することができる。青山さんは、「夜中に粉ミルクを用意する時、眠気のせいで水を何倍入れか忘れてしまうという声をよく聞きます。液体ミルクはそんな負担もありません」と話す。「5回に1回の授乳は液体ミルクに置き換える」など、時間帯や負担に合わせて液体ミルクをうまく取り入れている親が多いという。

「どこまで広がるか半信半疑だった」

液体ミルクは、2014年に国内販売解禁を求める署名運動が始まった。2016年の熊本地震では、海外製のものが救援物資として配られ、利便性と長期保存が可能な点から「災害時の備蓄用」として注目を浴びた。その後、子育て世帯からの国内での販売を求める声が一気に高まった。一方で、販売に向けては「本当に安心・安全なのか」という不安の声も聞こえた。「大切な我が子に『初めて』発売される液体ミルクを与えるのは、親御さんとしても不安な気持ちがあったと思います」と青山さん。だからこそ「発売前は、どこまで広がるか半信半疑」だったという。

しかし発売されると、備蓄用としてだけではなく、予想以上に「普段使い」の需要が目立った。青山さんによると、液体ミルクの発売がメディアで大きく取り上げられたことや、実際に液体ミルクを使用した親がその便利さをSNSで発信したことなどが、売り上げを後押ししたという。青山さんは「液体ミルクを、母乳や粉ミルクの他の選択肢の一つとして、より多くの方に使ってもらえたら嬉しいです」とコメントした。(2019.6.12(水) 14:23配信 HUFFPOST)

液体ミルクの導入きっかけは災害時の赤ちゃんへのミルク提供でしたが、販売が開始されママに認められ普通の生活の中で利用されるようになりました。日常生活に溶け込んでいざという時には防災備蓄商材として活用できることは理想的です。