新型コロナウイルスの感染が広がる今こそ、災害への備えを家族で考えておこう――。大阪府大阪狭山市の防災士、岡本裕紀子さん(33)がこう呼びかけている。私たちは今、何をすべきなのか。岡本さんに聞いた。

新型コロナは終息の出口が見えません。その中で台風シーズンが近づけば風水害の恐れが増します。感染症に自然災害が重なる「複合災害」は起こり得ます。外出自粛で自宅にいる時間が増えた今こそできることに、目を向けるべきです。

災害が起きれば、避難所が「3密(密閉・密集・密接)」になり、集団感染のリスクが高まります。避難所の運営指針を改定するなど、対策に乗り出した自治体もありますが、限界もある。いかに自分の身を守るかを考える必要があります。

まずはハザードマップを確かめ、親戚や知人宅を避難先の選択肢に入れることを考えましょう。地震で交通が寸断されることも想定し、歩いていける範囲で選び、相手に事前に相談しておきましょう。自宅の被害が小さければ、家にとどまる在宅避難も考えられます。

避難所しか選択肢がない場合もあるでしょうから、非常用持ち出し袋にマスクや体温計、衛生用品などを入れておきます。避難所では人と対面せずに背中合わせで座ったり、段ボールの仕切りを利用したりして、飛沫(ひまつ)感染を防ぐ工夫をしましょう。

日常的な対策が、複合災害の減災にもつながります。家族会議を開き、災害時の対応を話し合いましょう。特に発生後の集合場所は大事です。「A小学校の東門」などと具体的に決めておきます。当日会えない場合に備え、翌日以降の集合時刻も決めましょう。家族のうち父親だけが離れた職場にいた場合などに、家族を捜しに行って犠牲になることを防げます。

家族同士の連絡手段は携帯電話以外も考えておくべきです。公衆電話は停電に強く、災害時も通信規制を受けず使いやすい。公衆電話の場所はNTTのホームページで調べられるので、散歩した時などに確認しましょう。

通信アプリのLINEは自分の位置情報を送れるうえ、相手がメッセージを読んだかどうかもわかり、災害時には便利です。

非常食に慣れておくことも大切です。東日本大震災では味になじめず食べられなかった子がいました。各自の口に合うものを見つけるためにも、ぜひ在宅の時に試食してください。

地震では倒れた家具で死傷することも少なくありません。夜中に地震が起きた場合に備え、寝室で横たわり、部屋を見渡して危険を想像してみてください。押し開ける扉の先に家具があると、地震で倒れて開かなくなるかもしれません。家にいる時間が多い今、家具の配置を変えるチャンスです。

想定外を一つひとつ消していくことが、自分や家族の命、ひいては地域全体を守ることにつながります。(聞き手・山本逸生)

■在宅の時間が長い今こそ家庭でできる10の防災対策(岡本裕紀子さんの提案)

1 ハザードマップを確認

2 家族会議を開く

3 近所を散歩して避難経路を確認

4 段ボールの確保。水害時に「水のう」を入れて玄関前に並べると室内の浸水を妨げる

5 非常持ち出し袋のチェック

6 チラシを使った簡易食器作り

7 非常食の試食

8 レトルト食品や缶詰を使った調理

9 家の整理整頓

10 家具の配置確認や収納の工夫

(2020.4.27(月) 14:47配信 朝日新聞DIGITAL)

コロナウイルスが蔓延し非常事態宣言が発令されている今、防災対策の考え方にも変化が表れています。それは避難所に行かないための対策推進です。3密が感染リスクにつながることはご承知の通りですが、避難所はまさに3密状態なのです。そこでいかに在宅避難ができるように防災対策をすすめればいいのかを真剣に考える必要があるのです。みなさんはどのような対策を行えば在宅避難生活がおこなえると思われますか?