近年、大型台風やゲリラ豪雨が原因で浸水被害に遭う家が増えています。被害に遭わないためには、浸水の恐れがある立地や建物の形などについて正しい情報を知ることが大切。
■標高が高いところでも浸水の可能性はある
「浸水」といえば、海沿いや低地などをイメージしますが、実は内陸部の比較的標高が高いところでも起こりえます。例えば東京都世田谷区の標高は30~35mですが、ハザードマップを見ると、2m以上浸水する可能性のある地域がたくさんあります。
その原因は「ゲリラ豪雨」や「長時間にわたる降雨」。都市の雨水排水能力は一般的に50~60mm/ 時間を目安として設定されていますが、ゲリラ豪雨などは100mm/ 時間を超えることもあります。いくら一定の標高があっても、排水能力が追いつかなくなれば、水は低いところに流れますから、周辺地に比べて相対的に低い地区に水は集中してしまうわけです。
にもかかわらず実際に現地に行ってみると、こうした地域に普通に建物が建っていたりします。洪水を予測して基礎を高くするなどの工夫が施されていればまだマシですが、100mm以上のゲリラ豪雨的な大雨に見舞われたら浸水確実と思われるものがたくさんあります。さらに、いわゆる「半地下物件」の一戸建てやマンションすら散見されます。半地下物件とは、土地を掘削し地盤面より低いところに1階部分があるような建物のこと。住宅地は建物の高さが制限されていることが多く、そうした地域で建設される一戸建てや、販売戸数を稼ぐ意図で建設されたマンションなどが典型的です。このような半地下物件では一般的に、数万円のポンプで排水処理を行うため、浸水リスクはこのポンプの処理能力に依存します。そもそもポンプが壊れたり、停電で止まってしまったら排水不可能になるでしょう。
不思議なことに、こうした浸水可能性地域は、そうでないところと比べて、地価にさほど違いがないことが多いのです。というのも、浸水や土砂災害など防災等の情報や過去の取引履歴をはじめとする各種不動産情報は、国、都道府県、市区町村、法務局、上下水道局など多様な情報保有主体に分散しており、個別の物件に関する情報を幅広く調べることが困難なためです。ハザードマップなどのネガティブ情報は、親切な不動産業者であれば説明するものの、法律上は説明義務がありません。
ハザードマップで浸水可能性を探ることや、自治体に直接赴いて浸水履歴を確認することは必須と言えるでしょう。
■災害に対する保険や防災対策の検討も
水害に、金銭的に備えるためには火災保険の「水災補償」があります。水害はもちろんのこと、竜巻、台風の強風、雷、雹(ひょう)などが対象。雪の重みで屋根がつぶれるなどの被害も補償実績があります。ただしオプション契約なので、これから保険に入る場合、すでに保険に入っている場合もよく確認しましょう。
台風や水害で慌てない防災対策としては例えば「風雨で飛ばされそうなものを固定するか、室内にしまう」「雨戸やサッシのコンディションを確認する」「敷地内の排水溝や雨水ます、周辺の側溝などにつまりがないか確認し必要な場合は掃除をする」「避難用の備品として懐中電灯、ラジオ、救急用品、飲食物、衣類等、現金、通帳、身分証明書、印鑑、貴重品などを確認しておく」などが考えられるでしょう。いざというときにどこに非難するかの想定をしておくことも大切です。
マンションの場合、電源やボイラー、インターネット設備などが浸水すると使用不能になる恐れがありますし、防災用品や車庫が地下にある場合も同様です。床上浸水の可能性のある地域では、管理人室の書類や備品を避難させる必要もあるでしょう。泥かきのためのスコップや長靴、浸水を防ぐ土嚢(どのう)などの準備も検討したいところ。こうした備品をリスト化したうえで、いざというときにどのような行動をとるのかマニュアルを整備しておくと安心です。
土嚢といえば、土を入れるのではなく、水に浸して数分で膨らむタイプのものがあります。他にも止水板などを検討してもよいでしょう。
水害などの災害は、いつ巻き込まれるか分かりません。いつ襲われても大丈夫なように災害の可能性に見合った準備をし、いざというときに慌てないように備えておきたいところですね。(2019.7.25(木) 8:00配信 SUUMOジャーナル)
雨という天候が様々な原因により災害を引き起こすようになってきました。地震とは違い情報が事前に得られる現代においてその情報をきちんと活用することが重要です。その情報の中に自治体ごとに作成されているハザードマップがあります。まずはお住まいになっている場所がどういう場所なのかを知ることから始めてください。どういう場所かを知ることでどのような対策をしておく必要があるのかを考えるきっかけになります!!