「ストレスで母乳が出なくなる」は誤解

災害時の避難所などで「赤ちゃんがいる人全員に(液体ミルクを)配布するのがよいと考えられがちですが、それは適切ではありません」と指摘。「乳児用ミルクを飲んでいる赤ちゃんとお母さんに、必要な期間、必要なだけ届けることが大切です」と話しました。

母乳を与えているお母さんが、災害が起きてもそのまま母乳を与え続ければ、限られた乳児用ミルクなどの備蓄が本当に必要な赤ちゃんに届けられることにつながり、より多くの赤ちゃんの健康や命が守られるといいます。

「母乳はライフラインが止まっても衛生的に与えられるし、栄養価が変わらず、多くの免疫成分が含まれているなど、災害時にもってこいの特性があるにもかかわらず、不安や避難所の状況などから支援がないと母乳を継続しにくいと言われています」。また、被災などによるストレスで母乳が出なくなると言われていることについて、奥さんは「避難所生活で母乳が一時的に出にくくなったと感じる人がいるかもしれませんが、安全と感じられる場所で何度も授乳することで母乳は作られます。『ストレスで母乳が出なくなる』というのは誤解」、女性が安心して授乳できる環境を整えることが必要です。

母乳をあげている人は、災害時でもふだん通りに母乳を与えることが理想。被災直後の混乱している時は、避難所などに授乳室が用意されないことも想定されるので、避難グッズの中に授乳ケープや、着たまま授乳ができる授乳服などを用意しておくとよさそうです。

母乳育児の人へ食べ物を多めに配布も

東日本大震災の時に、避難所などで粉ミルクが配布されたことで、母乳から乳児用ミルクに切り替えた人がいたという。「母乳をあげている人には、(乳児用ミルクの代わりに)食べ物を多めに配布することなどを、あらかじめ自治体側で決めておくことが大切」。

通常、生後5~6か月で始まる離乳食。授乳の回数がだんだん減っていき、離乳食の分量が増えていきます。この時期に、災害などによって離乳食が手に入りにくくなると、母乳をあげている人も乳児用ミルクを与えたくなりますが、お母さんは「まずは母乳をあげてください。生後1年以上たつと、母乳中の栄養や免疫成分が減ると言われていますが、そんなことはありません」。

液体ミルク利用者は、自宅でも備蓄を

液体ミルクは便利な一方で、一度開封したらすぐ飲みきらなければならず、保存期間も半年ほどしかありません。

自治体が必要とする液体ミルクの備蓄量については、「赤ちゃんが必要とする乳児用ミルクすべてを備蓄することは難しい」としたうえで、ミルクを使用している人に対して、「被災状況によっては、自治体などが配布している場所に取りに行けないこともある。自宅で安全を確保しつつ、使い慣れたミルクの備蓄を検討してほしい」。

母乳をあげている人は災害時にもできる限り母乳をあげ続けることや、液体ミルクを利用する人は自宅で備蓄を心掛けるとともに消費期限に気をつけること、与える時に使う紙コップも一緒にしておくことなどが大切だと感じました。(2019.7.20(土) 9:20配信 OTEKOMACHI)

母乳の大切さは今も昔も変わりません。出来ることであれば災害時においても母乳で子育てをされているママには続けてもらいたいと思います。そのためには安心して授乳が出来る安全な環境づくりが大切です。