6月の大阪北部地震、7月の西日本豪雨、そして9月の台風21号に北海道胆振いぶり東部地震と、このところ自然災害が続いています。日本全国、どこでも備えが欠かせません。子どもたちに自らの身を守れる力を付けさせる防災教育が、改めて求められています。
子どもが学校で過ごす時間は15%
北海道胆振東部地震では、国内観測史上6回目の震度7(胆振管内厚真あつま町)というだけでなく、札幌市内でも最大震度6弱(東区)を観測しました。子どもをめぐる人的被害は死亡1人(厚真町の16歳)、学校施設の物的被害も計30校(9月7日現在)と、痛ましいながらも比較的小さな規模にとどまりました。しかし、とりわけ道央地区は普段、震度2~3程度の地震にさえ、なじみが薄い地域です。全国どこでも「うちは地震災害とは関係ない」と言い切れないことが、改めて浮き彫りになりました。
発災時間の午前3時7分にも注目しましょう。阪神・淡路大震災(1995年1月17日)も5時46分と、まだ多くの人が寝ている時間帯で、被害を広げました。それに比べれば被害が少なかったのは、日頃からの備えが重要であることを示しています。東日本大震災(2011年3月11日)は14時46分という、終業式や卒業式もあって下校する時間帯に起きました。校内外で生死を分けた子どもがいたのも事実です。
その年の末に開催された中央教育審議会の学校安全部会で、矢崎良明・東京都板橋区立高島第一小学校長(当時、現・学校安全教育研究所事務局長)は、1年間のうち子どもが学校にいる時間は15%にすぎないと指摘していました。起きている時間に限っても、学校にいる時間帯が約3割程度と、家庭や社会で過ごす時間が圧倒的です。発災時に、教師や保護者など、守ってくれる大人が周りにいるとも限りません。
政府計画や新指導要領でも重視
東日本大震災では、普段から防災教育が行われていた岩手県釜石市の子どもたちが自らの判断で行動し、小さい子や近所の人も含めて命を守った「釜石の奇跡」が知られています。政府の「学校安全の推進に関する計画」は、東日本大震災の教訓を踏まえて第1次計画(12~16年度)が策定されました。17年3月に閣議決定された第2次計画(17~21年度)でも、すべての児童生徒等が安全に関する資質・能力を身に付けることを目指すとしています。
今年度から小・中学校で移行措置に入っている新しい学習指導要領では、防災教育に特別な時間は設けなかったものの、▽主体的な行動に必要な力を育む(特別活動)▽安全・安心な地域社会づくりに必要な力を育む(社会、地理歴史・公民)▽自然現象等について理解する(理科)▽安全で安心して生きるための中核となる力を育む(体育、保健体育)――など、各学校で教科を横断したカリキュラムを組み、防災を含む安全教育を実施することにしています。「主体的・対話的で深い学び」により、実感を持って子どもたちが判断し行動に移せるような学習も求められます。
防災の課題は、地域によって実情が違います。それでも、この日本列島で風水害や地震に関係ない地域はあり得ません。子どもたちが防災や安全を学ぶことが、家庭や社会全体の安全に寄与するという意義を、この機会に改めて確認したいものです。(2019.11.27(水) 18:03配信 ベネッセ情報教育サイト)
防災教育はとても大切なカリキュラムだと実感しています。知識や経験がなければ行動に結びつかないことは周知の事実です。釜石の奇跡がそれを証明しています。災害はここ数年でとても身近なものになりました。子供といえども自分の命は自分で守ることが必要です。そのために我々大人が出来ることは教える・伝えることしかないと思います。