長泉町の母親有志グループ「MAMORU(マモル)マムズ」が、地震などの災害時に在宅での生活を継続できるよう日常の備えをまとめた冊子の作成を進めている。被災後も子どもが安心して生活できるよう、母親目線で自宅の安全確保や食の備蓄方法、心のケアなどを盛り込み、3月上旬の完成を目指している。
2017年度に県がまとめた「避難生活の手引き」でも在宅継続が要点として掲げられている。一方、手引き策定検討委員長を務めた常葉大の重川希志依教授(60)によると、民間で在宅生活継続を推奨し、具体的な方法を紹介する冊子作成の試みは「全国的にも珍しい」と話す。
市町の指定避難所での生活は周囲への気遣いや衛生状態の悪化など、子どもへの負担は大きい。グループの代表を務める高木有加さん(45)は「地震でショックを受けた子どもにとって避難所生活はさらにストレス」と作成につながった動機を説明する。
冊子の監修を務める沼津市災害ボランティアコーディネーター協会所属の高良綾乃さん(44)=三島市=は建物の倒壊などの危険がない場合「自宅でも家族ができるだけすこやかに過ごせる備えが必要」と言う。
タイトルは「コヅレダカラジタクヒナンノススメ」。目を引くインパクトを狙いカタカナ表記にした。子どもが食べ慣れた食品を少し多めに買って備蓄する「ローリングストック」や、被災体験を乗り越える子どもの心のケア方法などを盛り込む。部屋で物が落ちやすい危険な場所探しや電気や水のない生活を想定したテント泊体験など、子どもと一緒にできる防災の備えも掲載する。「“慣れ”は子どもの安心につながる。遊びの延長で取り組んでほしい」と高良さんは求める。
災害時に住民同士で助け合える関係を普段から築く重要性にも触れる予定だ。高木さんは「行政が何とかしてくれるという考えは捨て、自助や共助を見直す機会になれば」と期待する。
■避難所は「最後の選択肢」
県の手引きでは、避難所の受け入れ優先度や応援物資の配布まで発災後から数日かかる点を説明し、自宅での備えを呼び掛けているが、具体的な方法についての表記は少ない。常葉大の重川希志依教授は「子どものケアという視点は大切」と評価した上で、「全員が避難所に避難したら容量が足りなくなる。避難所生活は快適ではなく、最後の選択肢と考えるべき」と強調する。
自宅で生活できる備えをするだけでなく、知人、親戚宅への避難などを挙げ「できるだけ選択肢を増やすことが重要」と話した。(2019.2.14(木) 11:00配信 静岡新聞)
災害関連死という現実があります。熊本地震では災害直接死が50人だったのに対し災害関連死は200人以上です。避難生活で亡くなられた方の遺族は避難所は地獄だったと言われています。協会では在宅避難を推奨しています、しかし在宅避難を可能にするには事前にさまざまな準備が必要です。また、地震が発生したその瞬間に自分の命を守れるのは自分だけなのです。それは子供といえども同じです。自治体を当てにせず自助・共助・互助を意識して日頃から防災対策を家庭レベルで推進していくことが重要です。