県内では新型コロナウイルス感染症の発生以降、初の梅雨入りとなった。

例年、各地で猛威をふるう台風も今季の1号がすでに発生している。災害発生時に避難所での集団感染を防止する対策が急務だ。

避難所では、大勢の人が狭い場所に集まることが珍しくない。

「密閉・密集・密接」の「3密」が生じ、感染リスクが高まる。震災時の避難所では過去にもインフルエンザやノロウイルスなどの感染症が広がり課題となっている。

防災関連の58学会でつくる防災学術連携体(米田雅子代表幹事)は、毎年のように夏から秋にかけて豪雨水害が起きていることを受けて、新型コロナと自然災害が重なる「複合災害」の危険が高まっているとして「公的避難所での感染リスクが高く、従来とは避難の方法を変えなければならない」とする緊急メッセージを発表した。

コロナ禍の中での避難所開設はすでに始まっている。那覇市では住宅工事現場で見つかった不発弾撤去作業で開設された。避難所入り口で手指の消毒をしたり、市民が座るいすの間隔を2メートル以上空けたり、窓を開けて換気するなどの感染防止対策が取られた。

今後は大雨や台風などで、さらに大勢の住民が避難所を利用する可能性がある。

昨年、宮古島市に甚大な被害をもたらした台風13号では、市内全域の2万5098世帯(5万5006人)に避難勧告が発令された。市内8カ所に設けられた避難所には大勢が避難し、一時、過密状態が発生した場所もあった。

自治体は避難所の増設や、感染が疑われる人が避難する施設を別に用意するなどの予防策をとってほしい。

新型コロナの感染拡大を受け、内閣府は、避難所としてホテルの活用や、親戚や友人宅への避難促進を検討するよう自治体に通知した。実際に災害が起きた場合は、マスクや消毒液を念頭に「政府として感染症対策に必要な物資を供給する」とした。

梅雨明け後には熱中症の危険性も高くなる。特に高齢者や障がい者、乳幼児などの災害弱者は、避難所の環境が体調を崩す要因になると指摘されている。

こうした高齢者や、基礎疾患を抱えた人は新型コロナに感染すると重症化しやすいことも分かっている。

避難所への扇風機設置や空調設備の整備も急ぐ必要がある。高齢者などを対象とした福祉避難所を併設すれば、あらかじめ重症化リスクを分散することもできる。

身を守るため、個人ができる備えもいる。避難時にはマスク、体温計、消毒液を持参してほしい。

低地から高地へ、土砂災害が少ない場所や、互いの健康状態が確認できるなど、より安全な親類宅や知人宅を避難先にできるよう、事前に相談しておくことも有効だ。

災害被害と集団感染が同時に起これば、被災地の医療は崩壊する。県や自治体は、新型コロナ感染症があることを前提に、命を守るため、これまでにない対策を急ぎ講じなければならない。(2020.5.24(日) 9:50配信 沖縄タイムス)

避難所のあり方をコロナウイルスは劇的に変化させました。3密を避けるためにはパーソナルスペースを広げる必要があります。しかしながらスペースを広げるという事は収容人数も少なくなります。災害が発生した時避難所には自分が入るスペースがないという事態が今後は多発する可能性があります。