いまでは当たり前の存在になった「おひとりさま」。でも、一人きりのとき「もしも」の事態に見舞われると、えらいことになる。これから増えるおひとりさまが災禍から逃れるには……。専門家たちに尋ねてみた。

日本人の生涯未婚率(50歳時点での未婚率)は1960年代には男女とも1~2%だったが、2015年には男性23.4%、女性14.1%になった。

おひとりさまが自然災害に襲われたら……。 「今、大地震が起きてもおかしくありません。でも、しっかり準備をすることで乗り越えることができます。これは洪水や土砂災害なども同じです」

そう話すのは防災意識の啓発に取り組む、防災システム研究所所長の山村武彦さんである。コロナ禍で地震や水害が発生すれば、避難所での感染拡大が懸念されるので、事前準備が必要と続ける。

「まずは備蓄です。水や食料などを7日分家に準備しておいたほうがいいでしょう。一般的には3日分の備蓄をといわれていますが、大規模災害への備えとしては7日分は必要。家の安全が確認できたら、避難所ではなく在宅避難が望ましいからです」

実際の災害を想定して在宅避難生活を試みてほしい、と山村さん。「1日だけでもいいので電気、ガス、水道を止めたことにして生活してみることをおすすめします。ライフラインが途絶えた際どれほど大変かわかります。

特におひとりさまの場合は、より大変さが実感できるでしょう」そのうえで、おひとりさまの場合は近隣の人とつながりを持つことが特に大事だと強調する。といっても、ベタベタする必要はない。顔を合わせたら明るく挨拶する程度で十分だ。それだけで災害時のコミュニケーションもより円滑になる。

おひとりさまのもしもに備える方法として山村さんが提唱するのは“互近助”のすすめだ。

昨年10月、台風19号が関東を襲った際、記者が住む多摩川流域の地域にも避難勧告が出た。降り続く雨の中でマンションの人たちが自然と集まり、1階の人は避難所などに避難を始め、2階の記者は自家用車を高台へ移送することにした。このとき、えもいわれぬ連帯感を覚えたことを昨日のことのように思い出す。

「おひとりさまは一人きりにならないこと。孤立を避けることが、もしもに備える一番の方法です」(山村さん)  

僕も一人きりにならない術を考えねば。(2020.10.25(日) 8:00配信 AERAdot.)

1人暮らしが多くなっている現代において近隣住民とのコミュニケーションはとても大切です。互助力の形成は「挨拶」からといわれます。隣に誰が住んでいるのか知らないということがないように進んで挨拶をするようにしましょう。