「災害救助法で決められているプレハブ型の応急仮設住宅の一戸当たりの建設費の上限は561万円です」
2011年の東日本大震災以前は1戸当たりの標準仕様は、広さが29.7㎡で価格は238万7000円でした。でもさすがにこれじゃあろくなものは作れないということで、2017年4月から価格は551万6000円となり、広さについては各被災地の状況に合わせて決めることができるようになりました。そして現在は価格の上限が561万円/戸になっているのです。
だだ、法律で規定された上限価格に収まって建築できたことは過去に1度もありません。
北海道胆振東部地震の被災地に建設されたプレハブ型仮設住宅は208戸(2018.12.26現在)。建設費の総額は25億6560万円(解体撤去費含む)です。この額を208で割ると、1戸当たりの建設費は1200万円を超えます。だだし、北海道という寒冷地仕様にすることで付帯工事費が上乗せされている、しかしながら1200万円以上というのは非常に驚きました。
自宅が全壊や大規模半壊認定された場合、被災者生活再建支援法で最大300万円が支給されます。今回のケースでいえば仮設住宅建築費1200万円とあわせて1500万円を支給されれば、この地域であれば一戸建てが建てられるのではと思うのです。これは北海道胆振東部地震に始まった事ではありません、熊本地震でも西日本豪雨でも同様の事が繰り返されているのです。
プレハブ仮設に住む被災者の男性にこのことを話すと、「だったら1200万円を現金でもらったほうが生活再建は早いに決まっている」と表情を硬くしました。(2019.1.10(木)5:00配信 日経ビジネスより一部掲載)
災害が発生した時、被災者を支援するという方向性は間違っていません。しかしながらその支援方法について見直しや改善をしていくことは必要です。特に被災者の声をきちんと聞いて、その内容をこれからの被災者支援方法にきちんと反映させていく。このことを政府や自治体は真剣に考えなくてはなりません。災害が多発している現代において形だけの、あるいは机上の空論の支援対策では駄目なのです。皆さんはどの様にお考えですか?