9月1日は「防災の日」。どこの家庭にもある食品用ラップが、便利な防災グッズになるということをご存知だろうか。

新型コロナウイルス感染拡大の収束の見通しが立たない中、会社や自治体で今まで通りの防災訓練を行うことは難しい。 在宅時間が増える傾向にある今年は、例年にも増して「自宅で備えること」が重要になる。そんな場合、まずは身近なものを使って「在宅防災訓練」をしてみることが大切だ。

普段から自宅で使い慣れているモノが、アイデア次第で災害時の便利グッズへと変貌することを知っておくと、いざという時の助け舟となる。

「旭化成ホームプロダクツ」が2020年8月に実施した「防災意識と備えに関する調査」によれば、約8割の人々が家庭における災害の備えは「十分ではないと思う」と回答。 防災訓練や家庭での防災対策が不足している実態が浮き彫りとなった。

今回は 防災グッズとして役に立つ食品用ラップの活用法を紹介しよう。

1. 食器に敷いて節水に水道普及率が約98%に達している日本では、多くの人が「蛇口をひねれば水が出るのは当たり前」という意識で日常生活を送っているが、いざ災害が起きて水道管に被害が及べば、たちまち蛇口の水は断たれ、不自由な生活を強いられることになる。

災害時には、飲料水や生活用水として利用できる水を確保するために、少しでも節水することが必要になる。そこで、食器の上にラップを敷いて皿や茶碗を使用すれば、清潔に飲食することができ、食器が汚れず、水洗いもせずに済むので節水につながる。

2. 使い捨て手袋に  使い捨て手袋の着用は、炊き出し時など、食中毒や感染症予防として推奨されている。また昨今では、新型コロナウイルスの感染予防対策として、マスクや除菌シートと共に購入を考えた人も多いのではないだろうか。

災害時には水が貴重なので、どうしても手を洗う回数が少なくなるが、汚れた手で調理などの作業をするのは危険だ。 そんな時、使い捨ての手袋があれば衛生的に調理が出来る上に、調理後の手洗いで水を節約することができる。

しかし災害時には使い捨て手袋が手に入らないこともあるので、そんな時は、手にラップを巻きつけて代用することができる。

3.紐やロープの代わりに これは意外かもしれないが、食品用ラップを必要な長さに切ってねじると、紐のようにして使うことができる。3本用意して三つ編みにすればさらに強度が増すので、書類や衣類などを縛ってまとめる紐として重宝するだろう。

過去の災害では、食品用ラップを使って洗濯ロープを代用した例があるという。他にも、避難所などで立ち入り禁止や、誘導路の目印としても使えそうだ。

4. 体に巻いて防寒対策に 災害が冬場に起きた場合は、寒さとの闘いでもある。新聞紙を温めたい部分に巻いて食品用ラップで固定することで、 寒さをしのぐことができる。

見た目を気にする人もいるかもしれないが、上着の下に巻くことができるので、人の目を気にする必要もない。 1月の厳しい寒さの中で発生した阪神・淡路大震災では、寒さを少しでも和らげようと、この方法を被災者の方が実践していた。

胴まわりや足など、温めたいところをクシャクシャにした新聞紙で覆い、その上から食品用ラップを巻けば、新聞紙を固定でき、保温性アップも期待できる。注意点は、あまり強く巻きすぎないようにすることだ。

5. メッセージを書けば伝言板に  地震や火事、台風といった大規模な災害が発生したとき、まっさきに気になるのが身近な人の安否だ。

携帯電話が普及した現代では、いつでも簡単に連絡がとれる時代であるが、大きな災害が起こってからしばらくは、電話やインターネットが繋がりにくくなる可能性が大きい。

そんな時、過去の災害では、被災者が離れた家族や友人に自分の居場所を知らせるために、玄関や電柱に伝言を残すことがしばしばあったという。食品用ラップは破れにくいので、油性マジックでメッセージを書けば、とっさの時の伝言板代わりにとして活用できる。 

夏から秋にかけては豪雨や台風などの災害が多くなるので、「防災の日」をきっかけに意識を引き締めておきたいところだ。未だ新型コロナウイルスの収束が見えず、複合災害のリスクも懸念されている。

日頃から自分の身の回りが災害時にはどのように変化してしまうのかを想像して、シミュレーションをしておくのも良いだろう。

自宅で使い慣れているモノを災害時の便利グッズへと変貌させる新しいアイデアが思い浮かぶかもしれない。(2020.9.1(火) 8:00配信 ForbesJapan)

防災が発生した時、命をつなぐために必要なものは知識よりも知恵になります。その場にあるものを工夫して生活をする必要があるのです。日頃から創造力と想像力を働かせて発災時の状況をイメージして防災対策を進めましょう。