「災害対策に何を備えればいいのかわからない」と困っていませんか? 防災は身近にあるものこそ役に立つんです。たとえば食品用ラップフィルムは節水や防寒の対策にも活用できます。ただしラップなら何でもOKというわけではありません。丈夫で密封しやすく耐冷性の高い「ポリ塩化ビニリデン製」を選ぶのがポイント。 今回はそんな機能が備わった旭化成ホームプロダクツの「サランラップ(R)」を使った、防災に役立つサランラップ(R)活用法をお伝えします。旭化成ホームプロダクツが提案する情報とNPO法人レスキューストックヤード浦野愛さんの解説をもとに、防災士の筆者がご紹介します。

活用術1:食器に敷けば水洗い不要で節水になる

防災の備蓄品といえば、まず水や食品が浮かぶ人が多いのではないかと思います。しかしそれらを入れる容器のことまで考えていますか? 食事のたびに食器を洗っていては、災害時に貴重な水をどんどん使うことになります。そもそも洗うための水がないかもしれません。 そこで知っておきたいのが食器にラップを敷く方法です。食器に汚れがつかないので洗う必要がなく、節水に役立ちます。ラップを替えるだけでいつでも清潔に飲食できるのもポイント!「災害で断水が起こると飲料水だけでなく、あらゆる生活場面でとても困ります。水をできるだけ節約する工夫として、この方法はとても有効ですね」と浦野さん。 防災グッズに入れる食器は軽くて壊れにくいプラスチックやステンレス、紙皿や紙コップを選びましょう。

活用術2:生ごみやおむつの気になるにおい対策に

「災害時はごみが収集されるまで時間がかかります」と浦野さん。使用済みのおむつや生ごみなどのにおいが気になるものをラップで包めば、においが漏れるのを防ぐことができます。ごみの収集が開始されるまでこれらを保管する場合の異臭対策に有効とのこと。衛生面でも安心感があります。 貼り合わせれば大きいごみも包めるという情報を見て、さっそく筆者の愛犬のトイレシートを包んでみたところ、そのまま袋に入れるよりもにおいが気になりませんでした! 不足しがちな消臭グッズやビニール袋はなくなる前に買い足す「ローリングストック」を習慣にして多めに備え、いざというときのラップの使い方もチェックしておきたいですね。

活用術3:食中毒や感染症予防の使い捨て手袋に変身

水不足で手をこまめに洗えない状況で大活躍するのが使い捨て手袋。「トイレ、生活スペースの消毒・清掃時の衛生対策として、炊き出し時などの食中毒や感染症予防として推奨されています」と、浦野さんもコメントしています。 使い捨て手袋が手に入らないときは、ラップを代わりに使いましょう。ラップを十字に敷き、そこに手をのせて上左右の順番で手に巻き付け、最後に腕の部分を閉めるように包めば使い捨て手袋になります。 筆者は十字の縦が指先からひじ上くらいまでの長さ、横が広げた手のひらの3倍くらいの長さを目安にして作ってみました。ラップは15cmもしくは22cm幅が巻きやすいと思います。 消毒液がないときには、トイレを使用するたびにドアノブやハンドルにラップを貼り、その都度使い捨てするのも一案ですね。

活用術4:腹巻きの代わりに使って防寒対策

寒い時期の避難生活は防寒対策が欠かせません。コートや毛布などを十分に持ち出せなかった場合に備えて、ラップを腹巻きにするアイデアを知っておきましょう。 「胴まわりや足など、温めたいところをクシャクシャにした新聞紙で覆い、その上からサランラップを巻けば、新聞紙を固定でき、保温性アップも期待できます」と浦野さんもおすすめしています。この方法は1995年1月17日に起きた阪神・淡路大震災の被災者が実践したことで知られるようになったとか。 ラップは2人一組のほうが巻きつけやすいですが、刃に注意すれば1人でもできます。血行や動きを妨げないようにきつく巻きすぎないのが上手に活用するコツです。

活用術5:ねじるだけで丈夫なひもが作れる

ラップを切ってねじるだけでひもが作れることを知っていますか? 「サランラップはとても丈夫な紐になります。過去の災害では、洗濯ロープや、大切な書類や衣類などを縛ってまとめるのに使ったという例もありました」と浦野さん。 実際に試してみると、約1mのひもに物干しハンガーもかけられました。もし手作りマスクや髪を結ぶ細いひもがほしい場合は、一方をどこかに縛ってからねじるのがおすすめ。筆者が作ってみたところ、30cm幅のラップでもねじると3~5mm程度まで細くなりました。ただしだんだんゆるんでくるので、15cm幅のラップを使ったほうが使い勝手がいいかもしれません。 また、ひもを3本作って三つ編みにするとさらに強度が増すそうです。浦野さんは避難所での立ち入り禁止や誘導路の目印への活用も提案しています。

活用術6:紙の代わりに伝言板として活用

スマートフォンが普及したとはいえ、災害のときには電話がつながりにくくなり、メールの送受信も制限されるケースも。「過去の災害では、被災者が離れた家族や友人に自分の居場所を知らせるために、玄関や電柱などに伝言を残していました」と浦野さん。昔ながらの伝言板が役立つんですね。 紙がない場合も、ラップに油性マジックでメッセージを書けば伝言板の代わりになります。ラップは丈夫で破れにくいので、いざというときのために活用方法を知っておきましょう。離ればなれになったペットを探す場合、ペットの写真をラップで包んで貼り出せば雨で濡れるのを防げますね。

活用術7:おにぎりを握るときの食中毒対策に活用

避難所ではおにぎりの炊き出しが行われることがあります(自治体によっては衛生管理が難しいので行いません)。備蓄食品がない場合は大切な食べ物ですが、手洗いが十分にできない状況では衛生面に注意が必要。「おにぎりをサランラップで包めば、直接素手で触れずに口まで運べるため安全です」と浦野さん。 手を汚さずに済むので節水にもなります。調理をするときに三角巾や調理帽子がない場合、代わりに頭にラップを巻いてもよさそうです。

活用術8:クシャッと丸めれば食器洗いのスポンジになる

浦野さんが炊き出しのボランティアで被災地に行ったとき、調理用具を洗うたわしがなくて困ったそうです。「苦肉の策で、サランラップをクシャクシャに丸めて使ってみたら、汚れが落ちて、食器用スポンジ代わりになることを発見しました」と、思いがけない活用方法が誕生! 手のひらサイズのラップを丸め、少量の水と洗剤をつけて泡立てればOKです。 筆者は不器用なので、手のひらの2~3倍のラップを使って大きめに作ったほうが洗いやすいと思いました。丸めたラップをほどくと食器洗い用のクロスのようになって細かいところも洗えて便利でした。 ご紹介した身近なサランラップを使った防災のアイデアには、浦野さんのような防災のプロの方に加え、被災した方が考えた活用術もあります。不便なときこそ想像力を働かせることが大切ですね。在宅時間が長い今、その時間を利用して家族でアイデアを出し合いながら防災グッズの見直しをしてみてはいかがでしょうか。(2020.10.6(火) 22:10配信 kufura)

大きな災害が発生した場合、物流がストップするなどして物資不足になります。そんなときに必要なのが知恵と工夫です。あるもので何とかするしかありません。サランラップはその中でもいろいろな使い方ができるアイテムです。