台風12号が日本列島に近づいています。上陸のおそれはなくなりましたが、離れていても大雨には警戒が必要です。気象庁は台風や前線の影響で、東日本から東北地方の太平洋側を中心に、25日金曜日にかけて激しい雨、河川の氾濫や低い土地の浸水に警戒をするよう呼びかけています。豪雨時、特に都市部では何に気をつけるべきなのか。近年増加傾向にあり、災害の「脆さ」も指摘されたタワーマンションに関する対策を中心に、まとめました。
都市型水害といわれる「内水氾濫」
「内水氾濫」は、近年日本の都市部で問題視されている浸水被害です。 近年は豪雨災害が激甚化しており、2019年の台風19号でも東京都世田谷区や川崎市などに甚大な被害を及ぼしました。この時は、死者も出ています。 主要河川など大きな川の水を「外水」と呼ぶのに対して堤防で守られた地域の水を「内水」と呼び、大きな川があふれる洪水「外水氾濫」とは異なる浸水被害です。 その原因は、おもに2つ。大雨時に、用水路や下水道の排水能力を超えたり、河川の本流の増水で支流の中小河川から合流できない水が逆流したりして発生します。 都市化にともないアスファルトなどで大部分が舗装されていることなどから、都市部で発生しやすいとされています。川や用水路から水があふれ出すだけではなく、マンホールから水が吹き出すこともあります。
エレベーターが停止、ライフラインが…
2019年の台風19号では、川崎市の武蔵小杉でタワーマンションが浸水。電気やガス、水道などのライフラインが1週間以上にわたって途絶しました。 このようなケースが起きてしまうと、エレベーターは使用できず、階段しか使うことができなくなります。 復旧に時間を要することから、この間特に高層階の居住者や高齢者などが「生活困難者」になってしまうのです。東日本大震災では、復旧に半年以上かかったケースも。 また、ライフラインへの影響が長引けば生活に大きな影響が出てしまいます。 セキュリティシステムが使えなくなったり、ゴミ捨て場の管理状況が悪化したりするなど、タワーマンション特有の問題も起きてしまいます。
トイレを流すのはNG!
高層マンションで停電が起きると、ポンプが使えなくなることからトイレの排水ができず使えなくなってしまいます。 また、断水していなかったとしても、排水管が損傷していたり、通常の排水ができなくなったりして上層階の住民が流した汚水があふれたり逆流したりする被害が出る可能性があります。 災害後は復旧が確認できるまで「トイレに水を流さない」ことが大切です。
もしものときの対策は?
こうしたマンション特有の被害が起きたときのためにできる対策は以下の通りです。
🔲食料・飲料水の備蓄
1.最低3日、できれば1週間分食糧や飲料水を備蓄する
2. 日頃から食材などを多めに用意しておく(ローリングストック)
3. 日用品も備蓄しておく
🔲トイレや生活用水の確保
1.断水に備え普段から浴槽などに生活用水を貯めておく
2. 水がなくても使用できる簡易トイレを備蓄する
※小さな子どもがいるご家庭は溺れるおそれがあり危険です。浴槽への転落・溺水対策をしっかり行うか、他の手段で水を確保する方法を考えましょう
🔲災害発生前の早めの行動を!
こうした各家庭での備えに加え普段から管理組合などの自主防災組織をつくりマニュアルをつくることも大切です。 台風では天気が急変し、一気に災害が起こる可能性もあります。気象情報に留意しハザードマップを確認して、早めに避難経路や移動手段について計画しておきましょう。 自分や大事な人の命を守るのは自分自身であることを意識して、情報収集と早めの行動を心がけてください。(2020.9.23(水) 18:49配信 BuzzFeed Japan)
集合住宅の場合、災害時の行動は戸建とは大きく異なります。日頃から理事会などで防災対策の準備をすすめるとともに居住者の防災意識の向上が必要です。