震災や水害などのさまざまな災害リスクから会社を守るべく、BCP(事業継続計画)を策定する日本企業は年々増加している。しかし、今回の新型コロナウイルス対応には課題が残る企業も少なくないだろう。

【「BCPを策定している企業の割合」「BCP策定での感じるハードル」など調査結果はこちら】では、経営者やBCP担当者が気になる、他社の「BCP策定」状況や「新型コロナウイルス対応」の現状は、どのようなものなのか。ダイヤモンド・オンラインが実施した「BCP(事業継続計画)に関する調査」から、BCP策定の実態や経営者・BCP担当者らが感じる課題を明らかにしていこう。

調査期間は、2020年5月14日~5月28日。調査対象はダイヤモンド・オンライン会員で、経営者・役員、主に経営企画や総務・人事部などに所属する部長職以上の役職者。計294人から回答があった。

◆BCP「策定済み」「策定中」が75%に 主な想定リスクは地震などの災害

まず調査では、ダイヤモンド・オンライン会員にBCPの策定状況を聞いた。

「BCPを策定していますか」との問いに「はい」と回答した人は全体の55.78%、「いいえ」と「策定中」と答えた人の割合はそれぞれ20.75%だった。

上記の問いに「はい(策定済み)」「策定中」と答えた人に対し、「BCPを策定した、あるいは検討をはじめたタイミング」について尋ねたところ、72%が「新型コロナウイルス感染症が発生する前」と回答し、最も多かった。

一方で、コロナが確認された「今年1月~2月」が7.91%、そして「今年3月~4月上旬」が6.51%、「4月8日緊急事態宣言後」が5.12%となっており、コロナをきっかけにBCPを策定したと回答した人も約2割に上った。

次に「どのようなリスクに対してBCPを策定しているか」を複数回答可で尋ねたところ、最も多かったのは地震や火災、水害などの「災害」で83.33%だった。次いで「感染症」(46.26%)となっており、今回の新型コロナウイルスへの対応はBCPでも想定外だった企業が少なくないようだ。

◆BCP策定の「大きな壁」とは?

未策定企業では費用が問題にBCPの策定にあたっては、自社に合わせた実効性のあるものを検討しなければならないため、さまざまな壁にぶつかった経営者やBCP担当者もいることだろう。

BCPを「策定済み」「策定中」と回答した人を対象に、「BCP策定を検討するにあたって困ったこと、困っていること」(複数回答可)を尋ねたところ、最も多くの人が答えたのが「必要なスキルやノウハウが乏しかった」で44%に上った。

また、次いで「自社の業種に即した細かいガイドライン等がなかった」(39.5%)、そして「社内で緊急時に優先すべきことを抽出することが難しかった」(31%)が挙げられた。

一方で、BCPを「策定していない」と回答した人は、どんな理由があってBCPの策定に至っていないのだろうか。BCPを策定しない理由として最も多くの人が回答したのが「必要なスキルやノウハウが乏しかった」(33.8%)だった。次いで「費用捻出が困難」(22.54%)、「自社の業種に即した細かいガイドライン等がなかった」(22.54%)の回答が続いた。

「策定済み」「策定中」の企業と比較して「未策定」の企業は、「費用捻出が困難」である点が大きな問題になっていることが結果からもうかがい知れる。

◆「テレワーク」は6割も ツール導入は同程度に進まない現状

BCPの策定は難しくとも、コロナ禍でも事業を継続するためにさまざまな施策を行った企業は多い。では、具体的にどんなことに取り組んでいるのだろうか。

「今後取り組む予定・取り組んでいるBCP関連の施策」について尋ねたところ(複数回答可)、最も多かったのは「テレワーク(在宅勤務)」で約6割に上った。次いで多かったのが「テレビ会議の導入・強化」で54.76%だった。

テレワーク下では自宅などの環境で作業するため、オフィス以上にサイバー攻撃に警戒が必要だといわれているが、「セキュリティの強化」に取り組んでいると答えた人は38.44%だった。またテレワークによって社員同士のコミュニケーションが難しくなるという問題が至るところで起きている一方で、そうした課題を解決する一助となる「コミュニケーションツールの導入」は約3割にとどまった。

テレワーク(在宅勤務)を導入する企業が増えているものの、それに必要なツール、サポートシステムの導入などは同程度には進んでいないことがうかがえる。テレワークでもオフィスと同程度の勤務環境を作るためには、これらの導入も同時に検討することが必要だろう。

調査を行った5月時点でコロナによる経営への影響について尋ねたところ、「とても悪化」「悪化」と答えた人が約77%に上っており、感染拡大の第2波、第3波への懸念が高まる中でより厳しさが増していくことが予想される。

しかし、コロナ禍では悠長にBCPを策定している暇はない。自社の状況を俯瞰で見て、足りない部分の優先度を考えて行動に移すべく、「あなたの会社のコロナ対応レベルがわかる『48チェックリスト』」などを参考にしながら、コロナ禍を乗り越える方策を考えていただきたい。(2020.7.20(月) 6:01配信 DIAMONDonline)

コロナ等のウイルスに対するBCP、地震・水害等の自然災害に対するBCP。どちらも現在日本中で多発している災害です。その時会社はどのように対応するのか。BCPである必要はありません、自社にあったActionPlanを策定しましょう。