風水害の逃げ遅れを減らすため、自治体が住民に「マイ避難計画」づくりを呼び掛けている。

「逃げ時」と「逃げ場所」などを記入できる防災マップやカードを配り、命を守る自主的な判断と行動を促す。

避難所での新型コロナウイルス感染が警戒され、避難の判断が難しくなっている今、事前に計画を考えておく重要性が増している。

激甚化の傾向にある近年の風水害で、避難の遅れは深刻な事態を招いてきた。

「平成最悪の水害」となった2018年の西日本豪雨で、岡山県倉敷市真備町では51人が犠牲になり、その8割は屋内で見つかった。

兵庫県内では当時、自治体が発令した避難勧告・指示の対象人数のうち、実際に避難所を訪れた人の割合を示す「避難率」はわずか0・6%。こうした中、住民自らが判断し、行動する導きとなるのが、マイ避難計画だ。

神戸市は昨年度から、全戸配布の「くらしの防災ガイド」に「わが家の避難ルール」と題したコーナーを掲載。居住地に潜む災害リスクや避難行動を始めるタイミング、避難にかかる時間などの記入欄を設けた。

小野市も今月上旬、同様の防災マップを住民に配った。

「手元に置いて生活の一部に」(市防災グループ)と、表紙にくじ番号を記載。毎年抽選で特産品が当たる工夫を施した。

避難行動計画を記すカードを作成したのは姫路市。「命のパスポート」と名付け、折りたたんで財布などに常備できる。

兵庫県も昨年度から「マイ避難カード」作成を呼び掛け、県内8地区でモデル事業を行った。

その一つ、新温泉町数久谷(すくのたに)地区は13世帯約30人が暮らす山あいの集落で、土砂災害警戒区域に指定されている。

半数以上が高齢者で、約3キロ離れた町指定避難所の町民センターに自力でたどり着けない人もいる。

昨年7月のワークショップを経て、各世帯が計画を作成。介助が必要な高齢者を住民が車で迎えに行き、避難を手助けする仕組みも導入した。

西村行雄区長(67)は「身の安全は自分で守らなければならないことを学んだ。

災害に巻き込まれないよう助け合っていきたい」と話す。

コロナ対策を念頭にした県の避難所運営ガイドラインでは、親族や知人宅への避難も考えるよう促している。

県災害対策課は「安全な家屋に移ることも避難の一つ。3密の回避も重要で、日頃から避難の在り方を意識してほしい」としている。(2020.6.22(月) 7:30配信 神戸新聞NEXT)

ご自宅や勤務先の広域避難場所や避難の場所を確認していますか?いざという時に困らないように事前に確認しておきましょう。ここで大切なのが避難開始のタイミング。このことを決めていない人がほとんどです。気象庁が発表する警戒レベル情報を1つの目安にすることも方法ですが、自分のおかれた状況によっては自己判断も必要です。そのためには自分基準事前につくっておくと躊躇なく行動に移すことができます。