九州7県の全233市町村で防災業務に専従する職員が2019年4月時点で計673人に上り、約15年前から約2・8倍に増えたことが西日本新聞の取材で分かった。頻発する大規模災害を受け、多くの自治体で対応を強化したことが要因とみられる。一方、職員不足にあえぐ小規模自治体を中心に全体の4割弱に当たる88市町村で専従はゼロで、職員が兼務している実態も判明。防災力の地域間格差の拡大が懸念される。

総務省が昨年末に公表した「地方公共団体定員管理調査」の結果を基に、データでさかのぼれる05年分と比較した。防災専従職員は平常時、ハザードマップの作成や防災訓練の実施などを担当。災害発生時は、対策本部で統括的な役割を担う。調査によると、05年の九州(全380市町村)の防災専従職員は243人。19年の職員数673人を自治体別でみると、北九州市が44人と最多。福岡市27人、鹿児島市22人、熊本市19人などで、いずれも05年から倍以上増えていた。

16年の熊本地震で震災関連死を含め45人が死亡した熊本県益城町は、2人だった防災専従職員を、地震後に危機管理課を新設して9人に増やした。うち1人は、阪神大震災の対応経験がある兵庫県芦屋市からの派遣職員で危機管理監を務めている。町担当者は「土のうなど資機材の補充や全国の自治体からの視察対応も人員増強で充実した。危機管理監が軸となり、地震の教訓を生かした災害に強いまちづくりを庁内全体で進めている」と話す。

一方、同じく地震被害が大きかった熊本県西原村(人口約6500人)や17年の九州豪雨被災地、福岡県東峰村(同約2100人)の専従はゼロ。05年も配置はなかった。両村と同じ九州の人口数千人規模の小規模自治体は専従ゼロが目立ち、総務課などの職員が防災担当を兼ねている。東峰村総務課は「中小の自治体職員はあらゆる業務を兼ねている」と説明する。

全国の防災専従職員は計7132人で増加傾向にある。総務省は「近年の台風被害などを踏まえると、今後も増える可能性がある」としている。九州大大学院法学研究院の嶋田暁文教授(行政学)は「専従の増加は防災強化に一定程度有効」とした上で、「専従のいない小規模自治体は職員だけでは足りず、地域や民間企業も巻き込んだ態勢づくりが求められる」と指摘する。(2020.1.14(火) 10:27配信 西日本新聞)

地方にある自治体や小規模の自治体は専従スタツフを確保することが困難であることは理解できます。国や大きな自治体がいろいろな形で課題を乗り越えるための支援を行うべきです。災害が発生した場合、専従スタッフがいるのといないのでは初動が全く違います。特に人命に関わる事案の場合はです。我々に出来ることは防災対策をすすめ自助・共助・互助により自分たちの命は自分たちで守るということです。