【大地震 万が一の備えと行動】
新潟に震度6強の揺れが襲ったのは、先月18日の午後10時22分だった。それが東京や大阪の都市部だったら、仕事帰りに一杯飲んで帰る人が、あちこちの駅で足止めを食らったかもしれない。電車に閉じ込められた人も続出しただろう。大地震は、いつ、どこで襲ってくるか分からない。駅や電車で被災したら、どうするか――。
JRのほか、京王や東急、東京メトロの4社が乗り入れる渋谷駅は、1日の乗降客数が平均約320万人に上る。ピークの朝のラッシュ時にドスンと揺れたら大変だ。試算によれば、1万1000人が電車に閉じ込められ、1万7000人が駅に滞留するという。逃げ惑う人が自分勝手に行動したら、事故も相次ぐ。そんな危機的な状況を回避すべく、駅周辺の再開発に合わせ、災害時の滞留空間の建設も急ピッチで進む。その広さは地下5階規模で、防災備蓄倉庫も整備されるという。
日本有数のオフィス街である大手町周辺には、4200の事業所が集まり、30万人を超える人が働く。その玄関口が東京駅で、駅を中心に大手町や丸の内などを含めて、6000平方メートル規模の滞留スペースが整備される見通しだ。
国交省の調査によれば、首都直下地震における駅周辺滞留者(帰宅困難者)のうち、都心のターミナル駅に集まるのは21万人。東京駅は3万4000人、新宿駅は5万人に上る。そんな試算が相次ぐからこそ、あちこちで滞留スペースが整備されているのだが、そこに自分がいたら、とどまるべきか、やっぱりすぐに逃げるべきか。
災害危機管理アドバイザーの和田隆昌氏がこう言う。
「東京都震災対策条例によって都内のターミナル駅は、避難所になっています。再開発で大規模滞留スペースが設けられているのはそのため。耐震構造で水や食料も備蓄していますから、下手に動かないほうが無難です」
■地下の揺れは地上の3分の1
電車内に閉じ込められたらどうするか。
地上・地下などの電車が走る場所によって、避難方法が変わってくる。それを誤ると、生死にかかわるというから大変だ。
「阪神・淡路大震災では地下鉄の駅が一部、破損しましたが、それでも地下鉄は比較的安全です。地下は、地上よりも揺れが3分の1に抑制され、脱線や衝突リスクは低い。揺れが完全に収まるまでは、地下にとどまることを勧めます」ただし、長時間、地下にいるのは危ない。万が一、停電したら、エアコンや換気扇が切れて、蒸し風呂状態になる。配線が断絶し、火災が起きれば、逃げ遅れて火にのみ込まれるリスクもある。揺れが落ち着けば地上に上がるのが得策だ。
JRのように地上を走る電車は最も危険で、「線路間際まで古い橋やビルが立ち並んでいますから、倒壊して崩落するリスクがあります。火災が起きない限りは、自分勝手に降りたりしない方がいい。最寄り駅などに移動するまで待ちましょう」高圧電線が線路脇に設置されていることも多く、感電のリスクもあるという。
先月、逆走したシーサイドラインや、ゆりかもめ、舎人ライナーなどの無人運転の電車は特に、非常時には閉じ込めのリスクが高いだろう。「線路が地上の高いところにあるので、余震があった際に大惨事につながるため、避難誘導の救助隊が到着するまでは我慢するのみです」
電車に乗る位置でも死亡リスクが変わってくるという。JR福知山線脱線・衝突事故でも乗った車両と位置で生死が分かれたが、地震にも応用できる。「地上の電車の場合、脱線したり、障害物にぶつかるリスクがあります。被害は1両目、2両目が多いので、3両目以降に乗るのがいい」
地震の揺れで人間同士がぶつかって倒れることによる“圧死”の恐れもあるだろう。
「電車が横転するようなことがあれば、車内はドラム式洗濯機の中のような状態になりますから、頭を打たないように柱にしがみつくことが大事です。最も安全なのはドア付近です。柱があり、体をその場に固定できますし、車両内の人の圧力を受けにくい。また、座っている人は、低い姿勢をとってカバンなどで頭を守ってください」
真ん中でつり革につかまっているのは高リスクだ。いざという時のために電車内での位置も意識したい。(2019.7.5(金) 9:26配信 月刊ゲンダイDIGITAL)
地震はいつ発生するのかわかりません。ということは自分自身がどこにいる時かもわからないということです。通勤途中で電車に乗っているときかもしれないのです。地下鉄・JRでそれぞれ状況が異なります。こういう知識を持っていることで自分の命を守ることが出来ます!!