「この天井を使ったことによって命が助かる」「看板が人の命を救えたり、人の役に立てたら」東日本大震災をきっかけに、防災用品の開発に挑んだ職人たちの思いとは。

落ちても安全「布製の天井」

天井開発のきっかけは、2011年の東日本大震災でした。学校の体育館や音楽ホールなど、およそ2000ヵ所で「つり天井」が落下。石こうボードや鉄骨が直撃して少なくとも5人が亡くなり、70人以上がけがをしました。落下物によるけがを防ぎ、軽くて安全性が高い天井を作りたい。各地で専門家からアイデアを集め、他の企業と協力して一から開発しました。そして、「つるす」という従来の方法ではなく、天井を「張る」という発想にたどり着いたのです。壁にとりつけた専用の金具に布をかけて、四方から引っ張ることで、たるみのない天井を作ることに成功しました。

「命を救う看板」

「人の命を救う看板を作りたい」。しかし、通常のものでは強度が足りず、人を乗せることはできません。何百枚も設計図を書いて、100キロの重さに耐えられる看板を作り上げました。人を支援する(サポート)看板(サイン)という思いを込めて「サポートサイン」と名付けました。今では年間200台ほどを出荷。

「ものづくりを通して人の命を守りたい」。東日本大震災をきっかけに生まれた商品には、職人たちの、まっすぐで熱い思いがありました。民間や職人の人たちのパワーは計り知れません、知恵を絞り、仲間を募り、七転八起の精神で孤軍奮闘する!!まさに「人の命を守りたい」ただただその一つの目的のために寝食を忘れて行動される姿に頭の下がる想いです。公的機関の支援は当てにできません、当てにしてはならないのです。自分の命は自分で守る、民間の人たちが協力して試練を乗り越える、そのような基本的な考え方が今、必要です。