大規模地震などの災害時に、被災企業が迅速に活動を復旧・復興させるための事業継続計画(BCP)が中小企業に浸透していない。みなと銀行(神戸市中央区)の最新の調査では、兵庫県内に本社を置く中小の7割が未着手と判明。今後も策定予定がないとする企業も3割を超え、来年1月で阪神・淡路大震災から25年がたつ中で、備えへの意識が改めて問われそうだ。
みなと銀が8月に取引中小企業1859社に実施したアンケート(有効回答率72・7%)によると、BCPについて「必要性は感じているが策定できていない」が36・7%、「策定する予定はない」が33・0%で、計69・7%が未策定だった。規模別では、従業員10人以下の企業で79・1%、100人以下で72・1%が策定していなかった。
未策定の理由は「取り組む時間・人員の不足」が36・0%、「知識・情報の不足」が31・4%、「必要性を感じない」も31・1%あった。従業員10人以下では「必要性を感じない」が4割を超えた。みなと銀の2014年調査と比べると、未策定の割合は8・2ポイント改善。策定済みも8・2%(14年)から15・5%(19年)に伸びたが動きは鈍い。
19年版の中小企業白書によると、策定済みの中小は全国で17%。従業員の少ない企業では、災害時に被害把握がしやすいため「BCPを作るまでもないとの声もある」(みなと銀)が、昨年の台風21号でも物流網の寸断や浸水が操業に響いた県内企業があったといい、被害想定や備えの有無が事業継続などを左右する。
国は今年7月施行の中小企業強靱(きょうじん)化法でBCPとは別に、事前の防災・減災に取り組む中小への税制優遇措置などを盛り込んだ「事業継続力強化計画認定制度」を創設。備えの充実を促している。(横田良平)
【事業継続計画(BCP)】自然災害や大規模火災、テロなどの際に、企業や自治体が被害を最小限にとどめ、重要事業の継続や早期復旧を図るために策定する計画。ビジネス・コンティニュイティー・プランの略。バックアップシステムの整備や生産代替施設、人員確保策などをまとめる。国の2017年度調査では策定率は大企業で64%、中堅企業で31・8%。国は20年度までに大企業でほぼ100%、中堅企業で50%に広げる目標を掲げる。(2019.12.16(月) 8:30配信 神戸新聞NEXT)
2004年にイギリスは民間緊急事態法2004を制定しました。その内容はテロや災害、システム障害などの危機的状況下に置かれた場合でも、重要な業務が継続できる方策を用意し、生き延びられるようにしておくための戦略を記述した計画書のことです。日本ではBCPを災害のみと理解している人が多いようですが、本来の目的はあらゆるリスクを想定して策定されるものです。この記事では阪神淡路大震災の被災地である兵庫県内に本社を置く中小企業の7割がBCP策定に未着手という現状が発表されています。あれだけの甚大な被害があったにもかかわらずです。個々の企業にBCPを含めた防災対策を策定させることは難しいと言わざる負えません。特に中小零細企業は人手不足の問題があります。「防災シェアリング」を新しい防災対策の形として協会は提案しています。