ここ何年も大規模災害が相次いでいるが、大地震や豪雨など災害時の備えはできているだろうか。高齢の親がいればなお、いざという時に落ち着いて行動できるようにしておきたい。
事前に知っておくこと、備蓄するもの、老親に必要なことは何か。阪神・淡路大震災をはじめ多くの災害現場を知る防災・減災アドバイザーの水島重光さんに聞いた。「自然災害は発生の危険性が常にあります。現実と冷静に向き合い、少しでも被害を減らせるように準備をすることが大切です」と、水島さん。
災害時に必要な考え方で、「自助(自分で守る)」「共助(人と助け合う)」「公助(行政機関などの助け)」があるが、1つだけに偏らず、3つとも生かすことで大きな力になるという。「まずは、市区町村が出すハザードマップや防災マップで、自宅周辺が地震、洪水・浸水、土砂災害など、どんな災害に弱いかを把握しましょう。これを知らなければ、無駄に恐れるだけになってしまいます。
避難所の場所なども確認できるので、自宅からの経路を頭に入れ、家族間の集合場所を決めましょう。
また離れた老親との連絡方法を確認しておくことも忘れずに。災害リスクや避難所情報は、親の居住地の自治体ホームページからも入手できるので、情報を得やすい子供世代が主導してください」
自治体の多くは最新の防災や気象情報などのメール配信サービスも行っているので、親の居住地も含めて常に情報をキャッチしておきたい。
また避難所の情報も重要だ。
「避難所にはいくつか種類があります。まず市区町村が開設する“指定避難所”。自宅の損壊が激しく、生活が困難な人は誰でも利用できます。学校や公民館などが一般的。高齢者や妊婦、障害者など配慮が必要で、指定避難所では生活しにくい人たちのために開設されるのが“福祉避難所”。専門スタッフから必要な支援・介護を受けながら生活できます。ただ直接行くことはできず、指定避難所で体調や要介護状態を検討の上、移送が決まるので、まずは指定避難所にいる“運営委員(会)”に相談しましょう」このほか、旅館、スポーツ施設など、民間企業や法人が提供する避難所もある。「どの避難所も収容人数に限りがあり、入れないことがあるのも現実。事前に各避難所の状況を調べ、選択肢を増やしておくことが大切です」
◆自分で準備する備蓄品はローリングストック法で
自宅の損壊が軽く、なんとか生活できれば自宅に留まることになる。ライフラインが止まることも想定した備えが必要だ。個人個人が自分のために準備する物を聞いた。「最低7日分の備蓄を心掛けるようにしてください。ただ、4日目くらいから救援活動も始まることになっていますので、いたずらに恐れず、冷静に準備をしましょう。
必ず必要なのは水。1人あたり1日2リットル。2リットルのペットボトルより500mlで備蓄する方が小分けしやすく使い勝手がいいようです。食料は、普段も食べる缶詰やカップ麺、レトルト食品などを多めに備蓄し、食べたら買い足す“ローリングストック法”がおすすめ。高価で食べ慣れない非常食を準備するより、冷蔵庫や台所にある食品を食べ切る工夫を。ちなみにわが家は阪神・淡路大震災の時、水と冷凍食品をすべて大鍋に入れ、カセットコンロでカレーにしました。味は最高、食べ盛りの息子2人合わせて家族4人、4日間食べられました。妻の主婦力の賜物です。こんな工夫も生きる勇気を支えるのです」被災生活は、できるだけ日常の延長線上にあるのがよい。普段から水や火のない生活を想像し、ティッシュペーパーやラップ、耐熱ポリ袋、アルミ箔なども多めに買っておくとよい。
「もう1つ自助として切実なのがトイレ問題。地震で排水管破損の可能性があると排水禁止になることがあり、水があってもトイレなどは流せません。そうなると各家庭で排泄物をビニール袋などに集め、回収日まで保管することになるため、においや菌を抑えるトイレ処理剤は必須。各自で備蓄する必要があります」災害時には“待ったなし”の排泄問題。そんな中、水無しで解決できる「処理剤」も発売されている。
◆女性発想から生まれた携帯トイレセット
「ほっ!トイレ標準パック」(1回分)540円/エクセルシア
主成分の石灰で除菌してしっかり消臭。排泄時に隠せるポンチョがセット。最後は巾着袋で可燃ゴミに。
◆各地の大災害地でも性能実証済み
「スケットイレS-25C」(4人家族1日分)7776円/ニッソーファイン
排泄後に薬剤を振りかけると、強力な悪臭脱臭を発揮、静菌、固化能力も約3か月保持。(2019.8.20(火) 7:00配信 NEWSポストセブン)
災害時にどのような状況になるのかを想像してください。その上で何が必要なのかを考えることが大切です。命を守る対策と命をつなぐ対策の2つの視点をもってそれぞれのご家庭で必要なものを準備しましょう!!