災害時のペットとの避難方法が分かりにくいとの声が、福岡県久留米市に寄せられている。

7月の豪雨の際には、受け入れを断られたケースもあり一部で混乱。市は「142カ所の全指定避難所にペット飼育場を設ける」としているが、実態は避難所によって違っており、飼い主たちの困惑は今後も続きそうだ。

久留米市北野町の女性(28)は2匹の猫を飼っている。今月6日午後5時ごろ、自宅近くの道路冠水が始まったため、指定避難所の北野生涯学習センターと弓削小に電話すると「ペットは屋外か、車に置いておくなら可能」と言われた。

屋外は雨で水に漬かるかもしれないと躊躇(ちゅうちょ)し、他の方法がないか市災害対策本部のコールセンターに確認。そこでは「全避難所でペットを受け入れている」と言われたため、北野生涯学習センターへ猫を連れて車で避難したが、猫はやはり外に置くよう指示された。

再びコールセンターに問い合わせると、今度は「同伴避難はできません」との回答だった。市の説明に戸惑う中、市からの折り返しを待つ間に午後9時半ごろ。道路の冠水でとうとう家から出られなくなった。トイレも風呂も使えず、水が引くまで買いだめした食料を食べて3日間耐えた。

飼い主の理解を難しくしているのが「同行避難」と「同伴避難」の違いだ。環境省はペットと一緒に避難する「同行避難」を推奨する。置き去りにしたペットが逃げたり、野生化したりするのを防ぐ目的がある。

市もペットを気にして避難が遅れることを避けるため、同行避難を勧めるが、飼い主とペットが同じ空間で避難生活を送る「同伴避難」は原則禁止。そのため、マニュアルには「ペット飼育場を設置する」として、事前に飼育場を設ける場所も決めている。

だが一方で、避難所となった施設の管理者からの許可が必要との取り決めもあり、飼育場確保の判断は現場に任されているのが現状だ。市は、管理者の交代や方針変更などもあるため事前に把握するのは難しいと説明。

飼い主は避難時に自ら確認を取る必要に迫られる。

市内では飼育場を設置しスムーズに同行避難できた地区もあったという。今回の女性のケースについて、市防災対策課は「言葉や制度が分かりにくく、説明に食い違いが生じた可能性もある」と推測。過去の水害でも、飼い主からの問い合わせが相次いだことを明かした。同課は「ペットと速やかに避難できるよう、飼い主にも施設管理者にも理解と啓発を促していきたい」と話している。(2020.7.29(水) 10:45配信 西日本新聞)

ペットを飼っていらっしゃる方は年々増加傾向にあります。ペットも大切な家族です。災害時の避難において生地にあるように避難所ごとで対応が変わります。平常時に確認しておきましょう。