大雨の季節が近づいてきました。
九州北部の2020年の梅雨入りは6月12日ごろの見込みですが、3年前の豪雨の被災地、朝倉市では、20日、危険な場所の一斉点検が行われました。
大雨への警戒感が高まっていますが、2020年は、新型コロナの影響で住民が身を寄せる「避難所の運営方法」も大きく変わるんです。
具体的に何がどう変わるのか取材しました。
熊本地震の発生直後の避難所では 大勢の人が室内に避難し、「密集」・「密接」の状況が生まれました。
ボランティアによる炊き出しは、 被災し不安な中、温かい食べ物で心身ともに安らいでもらおうという取り組みですが、2020年は新型コロナの影響でこうしたサポートもできなくなりそうです。
飯塚市が準備している47カ所の避難所のうちの一つを取材しました。
【飯塚市役所 頴田交流センター 江原正明センター長】
「こちらが実際に避難する部屋ですので、ご案内致します」 「2年前は、ここに40人から50人の方が避難してきました」 2018年7月、西日本を中心に230人以上の死者行方不明者が出た豪雨。 飯塚市でも床上浸水の被害が450軒を超えるなど、甚大な被害が出ました。
「今年は新型コロナの影響で3密になるということで、(この部屋の収容人数は)約20人と考えております」
「約半分くらいになりますね」
飯塚市では避難所での「3密」を防ぐため、こんな対策も… 「家族と家族を話す距離を開けるという対策と、(備蓄した段ボール)あと飛沫の部分がありますので、できる限り段ボール等で横との仕切りをするというようなことを今考えています」
「それと空調関係については極力、窓を開けて換気をするというようなことを今のところ考えています」
飯塚市は、避難する全ての人にマスク着用を義務付ける方針ですが、その肝心のマスクの備蓄量は十分ではないといいます。
「正直申し上げましてそんなにはございません。200枚、300枚程度しかございません」 「ですので、基本的には、お持ち頂くと、避難者の方にですねそう考えています」
物の「共用」による感染拡大を防ぐため、避難者に持参して欲しいものは他にもあるといいます。
「例えば体温計とかが、非常に数的に避難所としては持ち合わせていないので」
「毛布とか、タオルケットとか寝具(布団)等もできる限りお持ち頂ければと」
また避難所で課題となるのが食事の問題です。
避難所ではカンパンや缶詰といった「非常食」が保管されていますが、十分な量ではありません。 頼るのは避難所周辺での調理や炊き出しですが、市では今年はそれを一切禁止する方針です。
「2年前の時は(この避難所に)2階の調理室がございますので、そこで学校の教員と職員が炊き出しをして、被災者の方々にお配りをしたことはありますが」 「今年はコロナの関係で炊き出しも非常に難しいのかなと」
Q(炊き出しで)感染が広がる可能性がある?
「それが怖いんです」 また、「他人との接触をできるだけ避けたい」という心理から避難行動にも「大きな変化」が出てきそうです。
「できるだけ3蜜の環境は避けたいということで、車中泊を選択する方は出てくると思います」
実際、民間の研究所が4月に実施した調査では、回答者5000人のうち73%の人が「災害時の避難行動」に「新型コロナの流行が影響する」と答えています。
さらに「コロナの流行に影響される」と答えた人の実に42%が、「車中泊避難」を選択し、「避難所に行く」と答えた人を大きく上回りました。
しかし、車中泊には注意点もあります。
「ずっと車内にいるとすぐエコノミー症候群になりますので、お天気の良い日は外に出るとか」
「それから、困るのはトイレですよね」 「自分で携帯用とかそういうトイレをお持ちの方は、テントと一緒に持ってきて頂くことも有効であると思います」
また、飯塚市の担当者は新型コロナ感染への警戒が続く中、今年は例年以上に避難の準備と避難する際のマナーに気を配る必要があると話します。
「市が準備した避難所に来られたらですね、勘違いして頂いたら困るのは、旅館とかホテルに来たみたいなつもりで時間になれば食事がくるとか、快適な生活空間があるという風な勘違いをしてもらったら困る」
「今回はコロナの状況下ですので、自分で汚したところは自分で清掃するとか」
「1人1人が避難所の衛生環境を作るんだというような気持ちで、避難所に来て頂きたいと思う」(2020.5.20(水) 20:00配信 TNCテレビ西日本)
異常気象による大雨災害が発生する可能性のある時期が近づいています。今年は例年以上に防災対策を意識してほしいと思います。大雨による災害が発生した場合、在宅避難は困難になるケースが想定できます。避難所以外の避難先の確保をしておく必要があります。知人・友人・ご親戚等頼れる方には事前にお願いをしておきましょう。