新型コロナウイルスの感染が拡大している時に災害が起きた場合、避難所をどう運営すればいいのか。

NPO法人「全国災害ボランティア支援団体ネットワーク」(JVOAD、東京都)は、感染を防ぐノウハウを伝授する「新型コロナウイルス避難生活お役立ちサポートブック」を作製した。

避難者の感染状況に応じた居住区分(ゾーニング)が重要と指摘。

部屋を分けたり感染者と非感染者が接触しないよう動線を分けたりするレイアウト図面などと合わせ、ホームページで公開している。

◇避難所を四つに区分、いかに接触しないで済むかを図解

通寸断などでやむを得ず感染者を避難所に受け入れる事態を想定し、避難者を

「感染者」

「症状のある人、濃厚接触者」

「(要介助、乳幼児がいるなど)要配慮者」

「その他一般の人」

の四つに区分。

3階建て校舎を避難所とした場合、教室や階段などをどう使い分ければ各区分の人が接触しないで済むかを図解した。

感染者の世話をするスタッフが感染予防着を着脱する地点も示している。

さらに、避難所に来た人の健康状態を体温やせきなどで区分するチェックリストを掲載し、感染を避けるための受け付け方法や手順などを具体的に指南した。

JVOADは、レスキューストックヤード(名古屋市)など国内の主要な災害ボランティア支援団体で組織。

サポートブックは、自治体職員や町内会、避難者などがコロナ禍でも対応できるよう、4月中旬に専門委員会を設けて検討してきた。

医療専門家にも専門委に加わってもらい、医学的見地に基づいた運営方法となっている。

加盟する各団体は、インフルエンザなどが流行している時期の避難所運営についての知識を持っており、

「寝床の間隔を1メートル(できれば2メートル)程度離す」

「扇風機は窓の方向に向ける」

「感染者専用の部屋が確保できない場合は、天井からシーツなどをつるして仕切ることも効果的」

などと具体的に説明。

感染が拡大している状況では、通常以上に一般の人の協力が重要となるため、食事配給や換気、掃除など避難者が担う役割ごとに作業手順や装備も紹介した。

JVOADは第2波、第3波が心配される状況でも、自宅などが危険な時は迷うことなく避難することが重要と考えており、感染リスクを下げる「少人数・個別空間」の分散避難を実現するため、ホテルや避難所指定外の公民館、寺社などの活用も促す。

栗田暢之代表理事は「『どうすればいいのか』という地域の防災リーダーの問いに答える手がかりに、と作った。これを活用して研修会をすれば、避難所運営のイメージがわくと思う」と話している。【川瀬慎一朗】

◇「支援者の安全を確保、感染を広げない」新たな発想で取り組み 「ボランティア元年」とされる阪神大震災から今年で25年。「全国から、迅速に、短期集中」で被災地へ駆けつけるという支援の常識が、コロナ禍で見直しを迫られている。

JVOADはボランティアやNPO向けガイドラインも作り、「支援者が感染を広げない」「支援者の安全を確保する」という新たな支援のあり方を提言している。

従来と大きく異なる点として、支援が感染拡大につながる可能性がある

▽マスクなどの入手が難しい状況での支援になる

▽感染した場合にボランティア保険などの対象になるか確認が必要――などを指摘。

被災地域の団体が支援の中心となり、外部からは現地入りせずオンライン会議で情報共有し、知恵や工夫を提供するよう求めている。

要請を受けて被災地入りする団体のために、先遣調査を含めた準備方法も列挙している。【川瀬慎一朗】

◇避難者の4区分と対応の目安

(A)感染者 医療機関につなぐか、個室確保を支援する

(B)症状のある人 症状のある人と濃厚接触者のスペースを分ける

(C)要配慮者 福祉避難所などへの移動を支援する

(D)一般の人 一般の避難スペースへ案内。状況に応じて医療関係者に相談する

(2020.6.7(日) 19:14配信 毎日新聞)

コロナ禍の中で避難所におけるウイルス対策がどんどん新しい考え方や対策方法が報告されています。人が密集する状況である避難所においてはとても大切な対策です。今までのような一か所に集めるという方向から分散していくという考え方が主流になるのかもしれません。