7月28日未明に発生した地震に「あれっ?」と思った人もいるだろう。震源は三重県南東沖。震源地に近い近畿や東海が震度1以下だったのに、遠く離れた関東や東北に強い揺れが到達した。宮城県は震度4、東京は震度3だった。
こうした地震は「異常震域」と呼ばれている。今回は震源が420キロと深かったため、揺れが遠くまで共鳴した。三重県沖が震源というと、フィリピン海プレートとユーラシアプレートが接する海溝の「南海トラフ」が原因と思ってしまうが、因果関係が希薄だ。今回の揺れは南海トラフと直接の関係はなく、太平洋プレートがフィリピン海プレートの下にもぐり込んだ最深部で発生したという。
「心配なのは地震の第2波が関東や東北を襲うことです。今回の地震規模はM6・5。地震は規模がM6・3以上の場合、1度目より2度目のほうが揺れが大きいことが経験的に知られています。3年前の熊本地震は、前震はM6・5で、その後に起きた本震はM7・3でした。今回も1週間以内に三重県南東沖で大規模な地震が起きる可能性を否定できません。そうなると、東京や東北地方が再び大きな揺れに襲われる可能性があるのです」
◆関東大震災で一番ゆれたのは東京ではない
フィリピン海プレートというと、東京など東日本とは無関係と思われがちだが、実は地震の危険性がある。ひとつは北米プレートがフィリピン海プレートに押されて起きるM7~8の内陸直下型地震。もうひとつは相模トラフで海底の北米プレートが跳ね上がって地震が起きる可能性がある。これは1923年の関東大震災と同じ原理だ。
フィリピン海プレートに関係する地震や火山噴火として阪神・淡路大震災などを第1ステージに、口永良部島・新岳の噴火などを第2ステージと考え、スーパー南海地震の発生を第3ステージとして警鐘を鳴らしてきた。その中に伊豆半島東部から千葉県沖の相模トラフを震源とした地震もあり得るという。
「関東大震災で一番揺れが激しかったのは東京ではなく、横浜と房総半島の先端でした。ただし津波は別です。東京湾でプレートが跳ね上がると、下町はもとより、みなとみらいからお台場などが水没。銀座や東京駅の地下街、地下鉄も浸水で危険な状態になります」
遠くのグラリが、近くの大地震を引き起こす。油断は禁物だ。(2019.7.30(火) 9:26配信 月刊ゲンタイDIGITAL)
災害はどのような形で自分たちが生活している環境に影響をあたえるのかわかりません。どのような事態が発生するのかを考える前にどのような状況が起ころうとも「命を絶対に守る」ための対策や準備は怠らないようにしてください。それは住んでいる場所がどこであろうとも同じなのです。