被災したお年よりが住宅を復旧するための公的融資として、「災害型リバースモーゲージローン」が注目されている。土地・建物を担保にお金を借りられ、月々の返済は利息分だけで済む。高齢化が進む地域で災害が相次ぐ中、住宅金融支援機構が3年前に始め、後押しする自治体もある。台風19号被災地での利用も想定されている。

「災害リバモ」は、同機構の災害復興住宅融資で、60歳以上が対象の返済特例だ。本人が亡くなった後、相続人が元金を一括返済するか、担保を売却して返済に充てる。売却価格が元金を下回っても残りの返済は不要なのが特徴。申し込みには罹災(りさい)証明書が必要で、補修の場合は「一部損壊」でもいい。

高齢者だけで資力のない世帯が被災し、将来子どもが家に戻ってこないようなケースなどで、補修・再建資金を借りるのに有効だ。たとえば自宅を担保に200万円を借りた場合、現在の金利だと月約3千円の支払いに抑えられる(12月現在の金利年1・84%)。

2016年4月の熊本地震で、高齢被災者のニーズがあったことから、17年1月に導入された。熊本県、熊本市が利子分の一部を補助し、今年9月までに171件の利用があった。18年7月の西日本豪雨で被災した岡山県倉敷市も今年度、機構と連携し、返済利子を通常の半分に抑えて残りを市から機構に支払う制度を創設。利用実績は49件だ。

利用者「年金暮らしでも」

東日本大震災の被災者で「災害リバモ」に助けられた人もいる。宮城県石巻市流留の小松和子さん(75)は約200万円を借り、10月、傾いていた台所の床をようやく修理できた。「頭痛やめまいに悩まされていた。ほっとした」

夫と住む築50年の家は、8年前の震災であちこちゆがみ、津波も床まで来た。被災判定は半壊で、被災者生活再建支援金は出ない。屋根や水回りは直したが、資金が尽き、床の傾きなど残りの部分は我慢せざるを得なかった。子どもはおらず、最後は家を処分しようと思っていた。そんな中で災害リバモを知り、申し込んだ。月3千円ほどなら、年金暮らしでも返していける。

石巻には、小松さんのように被災住宅をちゃんと修理できないまま、劣悪な環境で生活を続ける「在宅被災者」が多数いる。支援団体「チーム王冠」の伊藤健哉さんは、「公的補助が不十分な中、災害リバモは高齢の在宅被災者の助けになる」と言う。

住宅金融支援機構東北支店によると、震災被災者の災害リバモ利用は、まだ14件。広く知られていないのが現状だ。リバースモーゲージの仕組み自体になじみが薄く、「死んだら家をとられる」といった誤解も少なくない。「十分ご理解いただくため、機構職員がカウンセリングをし、親子リレー返済や親孝行ローンなど、他の選択肢も説明している」と話す。同機構は、台風19号も含めた被災者向けにコールセンター(0120・086・353)を設け、災害復興住宅融資の相談に応じている。(2019年12月20日03時00分配信 朝日新聞)

今年は千葉県を中心に台風15号・19号などによる多くの被害が発生したこともあり防災教室を開催し住宅支援機構が取り扱っている災害復興住宅融資のお話をさせていただきました。被災された方にとって住宅再建の問題は大きなテーマです。そして何よりもお金の問題はどうしてもされけられない課題なのです。いざというときにあわてないように知識としてもっておくことは大切です。