もしも台所にいる時に、立っていられないほどの大きな地震がきたらどうすればいいのだろうか。【A】台所から離れる、【B】火を消す、のどちらが正解なのだろうか?

地震発生時、家の中でいちばん危険な場所は、ずばり“台所”です

とは、災害危機管理アドバイザーの和田隆昌さんだ。なぜなら食器棚や冷蔵庫などの家具・家電が倒れてきたり、食器や包丁などが落ちてくるからだ。さらに、やけどや火事につながる火元もある。

1923年9月1日、午前11時58分に発生した関東大震災では、発生時刻が昼時だったということもあり、台所で火を使っていた家庭が多かった。そのため、地震発生直後から火災が発生。このときの犠牲者の約9割は火災で亡くなっている。

「この後“地震だ、火を消せ!”という標語が生まれました」(和田さん・以下同) となると正解は【B】か…。

◆食器棚や冷蔵庫は固定するなど対策を!

「1997年に震度5程度の揺れを感知すると自動でガスの供給を遮断するガスメーターの設置が義務づけられました。さらに2008年には、ガスコンロの全口に安全センサーが搭載されることになり、大きな揺れが起こると自動で消化する仕組みになりました。

地震の際、慌てて消火しようとして、やけどやけがをする事例が多いのですが、いまは自動で消えるので、無理に消す必要はありません」

IHクッキングヒーターも、震度5程度の揺れを感知すると、自動停止する。つまり、【B】「火を消す」必要はひとまずないということ。正解は【A】の「台所から離れる」だ。

台所は、皿や包丁、冷蔵庫など、地震発生時に凶器となるものであふれています。たとえ火を使っている場合でも、まずは身の安全を優先し、物が倒れてくる恐れのない壁側や廊下など、安全な場所に避難しましょう

揺れがおさまってから火元を確認し、出火していても慌てず、速やかに消火活動を行おう。そのためにも台所付近に、スプレー式の簡易消火器を常備しておくと安心だ。

「台所は危険な場所と心得、食器棚をはじめ、冷蔵庫・電子レンジなどの家電は、固定具を取り付けたり、転倒防止のために底に耐震マットを敷いておきましょう。また、食器棚の扉が開いて中身が散乱しないよう、耐震ラッチ(※)を取り付けるなどの防災対策をしておきましょう」

※地震の際、食器棚などの扉が開いて中身が飛び出さないように取り付ける器具のこと

ほかにも、包丁・はさみなど刃物類は出しっぱなしにしない、鍋など重いものは腰より下に収納するなども大切だ。(2020.4.19(日) 16:05配信 NEWSポストセブン)

コロナウイルスが蔓延している今でも地震が来ないという保証はありません。自宅で過ごす時間が長い今だからこそ防災対策を進めていきましょう。