南海トラフ地震で津波被害が想定される139市町村に朝日新聞がアンケートしたところ、7割が津波対策の課題に「高齢者や障害者などの避難支援」を挙げた。

東日本大震災では死者の6割が高齢者で、障害者の死亡率は被災者全体の死亡率の2倍。災害弱者の命を津波からどう守るか、自治体や地域の試行錯誤が続いている。

南海トラフでの巨大地震発生確率は今後30年以内に70~80%。想定死者数は最大で32万人、うち23万人は津波の影響とされる。朝日新聞は津波防災に関するアンケートを、地震発生から30分以内に30センチ以上の津波が到達することなどから、政府が対策を求める14都県の139市町村に実施。すべてから回答を得た。

津波対策の課題を選択式で尋ねたところ、最多の99市町村(71%)が「避難行動要支援者(高齢者や障害者など)の支援」を選んだ。政府は要支援者ごとに支援者や支援方法を定めるよう促しているが、具体的な課題として99市町村(71%)が「支援者の事前決定」、96市町村(69%)が「支援方法を決めておくこと」を挙げ、津波到達までの短い時間に高齢者らをどうサポートし、支える側の安全をどう守るのか、対策を探しあぐねていた。

災害弱者の支援以外では「夜間の迅速な避難」(71市町村、51%)、「警報や避難勧告が出ても住民が避難しない恐れ」(52市町、37%)、「住宅の倒壊などで避難路が塞がれる恐れ」(36市町、26%)だった。

政府は東日本大震災を受けて2014年4月、津波など災害の種類ごとに緊急避難先を市町村が事前に指定する制度を設けた。制度開始から5年になるが、アンケートでは105市町村(76%)が想定最大避難者数に対応できる津波避難ビルやタワー、高台などの避難場所を指定したと回答した。ハード面の整備は進む一方、実際の避難につなげる方策は道半ばという状況が浮き彫りになっている(2019.4.7(日) 9:30配信 朝日新聞DIGITAL)

高齢者や障害者などの避難支援はとても大切な課題です。家庭、学校、マンション、自治会、どの組織体においても同様の課題があるのです。どのようにして社会がサポートするのか真剣に考える必要があります。