災害の多い国に住む私たち。長時間停電した際に気になるのが冷蔵庫の中身です。
「冷凍庫収納は10割収納することで、保冷力が高まることがわかりました」と語るのは、冷蔵庫収納家の福田かずみさん。詳しく教えていただきました。防災の観点から、冷凍した食品がいちばんもつのは「10割収納」だった!平成の時代は災害が多く、この30年で、防災に対する私たちの意識が高まったことを感じます。各家庭でも、乾パンなどいわゆる備蓄食だけでなく、インスタント食品やレトルト食品、缶詰といった賞味期限の長い食品を意識的に備えているのではないでしょうか。とはいえ、有事の際まず初めに手をつけるのは、カップ麺よりも冷蔵庫の中にある食品になります。
では、災害時など、長時間の停電した時、家庭の冷蔵庫はどのくらい保冷力を保つのでしょうか。カギを握るのは、冷凍室です。
●冷蔵庫の収納率は「7割まで」がベスト!
ところで、今、皆さんの冷凍室にはどのくらいの冷凍食品が入っていますか?「いつもパンパンです!」という方から、「冷食は利用しないの…」といった方までさまざまだと思います。冷蔵室の収納率は、7割までがよいと言われています。それは、冷気の循環をよくするためです。パンパンの冷蔵室では、庫内の温度にムラが出てしまい、食材を均一に冷やすことができません。また、温度管理をするセンサーにより、冷えていない空間を感知し、それに合わせて冷気を多く送り込んでしまいます。そう、ムダな電気代がかかってしまうということにもなります。
●冷凍庫の収納率は「10割」が理想的!
一方、冷凍室はどうでしょう? 冷蔵室が7割なのに対して、冷凍室は、何割収納が理想なのでしょうか。正解は、なんと「10割」です。その理由は、凍った食材同士が冷やし合うからです。
500mlのペットボトルが7本と1200mlと900mlの保存容器をそれぞれ2個ずつ、すべてに水を入れて完全に凍らせました。コンセントを抜いて、食材を取り出したと想定して2時間後に一度開閉し、合計で丸二日間(48時間)後冷凍庫にあるすべてを出して並べてみました。一部溶けてはいるものの、おおむね凍っています。上下に重ねて収めていた容器の中で、下に配置されていたものですが、ほぼ凍っている状態でした。ペットボトルも下にあったものは、保存容器同様、溶けづらいことがわかりました。このことからも凍った食材同士が冷しあうことが理解できると思います。
ちなみに、ペットボトルを1本だけを入れて電源を落としてみました。同じように、電源を落としてから2時間後に開閉し、48時間後に様子をみてみました。結果は、手にしたときに若干冷たくは感じましたが、完全に溶けて水になっていました。このことから、冷凍庫収納は10割収納することで、保冷力が高まることがわかりました。
保冷力の点からは、保冷剤でも効果があります。でも、有事の際は、氷は命をつなぐ水になります。ぜひ飲料水を凍らせてくださいね。(2019.5.10(金) 20:50配信 ESSE online)
冷蔵庫は発災時において食料の貯蔵庫です。水を凍らせておくことは2つの意味を持っています。①保冷材の役割を果たし、停電していても冷蔵庫内の温度を維持②飲み水としての利用、みなさんも冷凍庫に空いたペットボトルを利用して水を凍らせておくことをお勧めします。