主に使われるのは人工呼吸器、吸引機、在宅酸素の3つ

在宅療養の場合、電気で動く医療機器でよく使われているのは、1.人工呼吸器 2.吸引器 3.在宅酸素(酸素濃縮器)の3つ。

「他に介護用品であれば、エアマットや、ベッドを上げ下げするギャッジアップもあります。夏場であればエアコンも体調管理には必要でしょう」

在宅療養をしている人は電気が命綱であることが多いのだ。

人工呼吸器は内部バッテリーがあるが、吸引機や酸素濃縮器はほとんどない

「人工呼吸器は、新しいタイプのものであれば、停電と同時に内部バッテリーに切り替わり、だいたい10時間前後持ちます。古いものであれば、3~4時間程度でしょう」

吸引器は、気管切開などをして、自力ではたんが出せない人が窒息しないように、人工的にたんを吸引するのに使う。

「吸引器の多くは内部バッテリーがないので、停電したらすぐに使えなくなります」

在宅酸素は肺がんやCOPD(慢性閉塞性肺疾患)などで肺の機能が落ち、酸素を空気中から十分に取り込めない人が使う。通常、空気から酸素を濃縮して送り込む「酸素濃縮器」を使うことが多い。

「酸素濃縮器もバッテリーがないものがほとんどで、停電したらすぐ使えなくなります。まとめると、人工呼吸器はしばらくもつけれども、吸引機や在宅酸素は別の手段にすぐ切り替える必要があるということです」

人工呼吸器、内部バッテリーが切れたらどうするか

人工呼吸器を使っている人は、通常、介助者が手押しで空気を送り込む「蘇生バッグ(通称:アンビューバッグ)」と呼ばれる医療機器を持っている。「しかしこれは、医療者でさえ、片手で2~3分押したら疲れてしまいます。老老介護で看ている場合は実質不可能な手段ですし、交代する人が何人もいなければ現実的な対処法ではありません」

有力な方法としては、主に3種類ある。1.外部バッテリー 2.インバーター 3.発電機という3つの手段だ。

外部バッテリーは、万が一の時のために医療者があらかじめ置くように指導していれば、その容量に応じた時間、人工呼吸器を続けて使うことができる。自動車用のバッテリーが使え、自動車用品店で売っている。持つ時間は、バッテリーの種類や使う医療機器にもよる。

インバーターは、自動車のシガーソケットやボンネットの中のバッテリーから電気をとるために使う電力変換装置だ。「これも自動車用品店で売っていますが、定格出力が概ね120ワット以上で人工呼吸器が使えます。吸引器も使っている場合は、250ワット以上のものを選べば両方の電力を賄えるでしょう」

万能なのは「発電機」 卓上コンロのガスボンベで動くものも

人工呼吸器だけでなく、吸引器、在宅酸素でも対応しやすいのは「発電機」だ。

「ガソリンを燃料とするものが一般的ですが、ガソリンを家庭に準備しておくのは限界があります。最近では、家庭用の卓上コンロのガスボンベで動くものも発売されています。ガスボンベはスーパーでも売っているものですから、このタイプを用意しておくと安心でしょう」

仙台往診クリニックでは2011年の東日本大震災の時に、人工呼吸器など電気を使って動かす医療機器が必要な患者46人を診ていて、一人は津波で亡くなった。45人中26人はあらかじめ発電機や外部バッテリー、インバーターなどを用意していたので、在宅のまま乗り切った。後の19人は備えがなかったため、うち3分の2は往診で緊急に対処し、3分の1は病院に搬送することになった。

「震災で備えが大事だと痛感し、今は必要な患者全員に機器を準備し、半年ごとに使える状態かチェックしています。被災地の人だけでなく、全ての地域の人が日頃から考えておかなければならないことだと思います」(2019.6.19(水) 0:30配信 BuzzFeed JAPAN)

在宅医療は医療機器を使っています。その全ては電気で動いています。その状況において停電が発生したら、それも長時間にわたって・・・考えただけでも怖い話です。停電=死を意味する在宅医療。停電時の対策をすることは絶対に必要です。発電機がその対策として有効であることはまったくもってその通りです。問題はその発電機をガソリン又はガスボンベを燃料としているものというアナウンスは賛同しかねます。どちらを燃料としても室内での使用はできない事、また、かなり大きな騒音が発生する為、ご近所に迷惑がかかることは当然ですが、在宅医療を受けていらっしゃる方にもかなりのストレスになります。協会では室内で使える発電装置『MGV』こそが在宅医療の停電対策には最適だと提案します。MGVは塩水で発電し、無音・無臭コックをひねるだけですぐに発電を開始する優れものです。