阪神・淡路大震災、東日本大震災などの大地震に、大型台風や記憶に新しい今年7月の豪雨といった水害も年々激化。緊急避難を余儀なくさせられる状況が増えつつある。 「いまや自然災害は日常の出来事。しかも新型コロナウイルスの目に見えぬ脅威も加わって、少しの油断もできません。常に防災を意識して、日ごろから備えておくことが大切です」 と指摘するのは国際災害レスキューナースとして災害現場で救助活動をしている辻直美さん。

いまだに多くの人が防災を勘違いしているという。

「非常持ち出し袋や防災グッズを買うと安心してしまうんです。

中身をチェックせずに放置しているので、賞味期限も把握できていない。これではいざというとき、なんの役にも立ちません」

防災はすでに日常の延長線だから、家にあるものでなんとかする。その知恵と工夫こそが肝心、と辻さんは言う。

「防災に役立つアイテムは、家にあるものでほぼまかなえます。ラップ、ゴミ袋、布ガムテープといったものは多用途に使える万能アイテムだし、足りないものはたいがい100円ショップで手に入ります。

お金はかけるべきところだけにかけて、あとはリーズナブルにすませる。そうすれば防災のハードルは高くありません」 家にあるものを見直して、防災に役立てていく。それが日常防災の極意。

非常持ち出し袋には最低3日分を想定して入れておきたい。辻さんにいま用意すべきアイテムを教えてもらった。

ふだんから持ち歩きたいお助けアイテム。

辻さんは日ごろから、いつ災害にあっても対処できるように最低限必要な「命を守る」アイテムを持ち歩いている。

「中でも大切なのが万能ナイフ、ソーラーライト、コンパス、防災笛の4つ。これを登山用のカラビナにセットしています」 ハサミやナイフがついている万能ナイフは布の切断に使うなど多用途で、ソーラーライトは停電時に、コンパスはスマホのマップ機能が使えなくなったときに、防災笛は助けを呼ぶために必要なマストアイテム。

「もうひとつ、女性におススメなのが懐紙。可愛いデザインのものがたくさんあるし、防災に役立つ万能アイテムで、メモ用紙にしたり、紙皿代わりにしたり、クシャクシャに揉むと柔らかくなり水に溶けるので、ちり紙、ティッシュ、メガネ拭き代わりにも使えます。私はふだんからティッシュは持ち歩かず、懐紙を使っているんですよ」

新型コロナ対策は外出先や家でも欠かさない。

新型コロナウイルス感染の脅威にさらされているいま、手指だけでなくドアノブなどの消毒も欠かせない。辻さんが推奨するのは殺菌消毒剤の「オスバンS」と「無水エタノール」。

「看護師という仕事柄、感染症対策には特に注意を払っています。私がよく使うのは『オスバンS』で、これはオペ室でも使われています。キャップ1杯5mlで水1リットルに1~2杯入れて薄めて使います。『無水エタノール』は精製水で薄めますが、無水エタノール4:精製水1の割合で作ります。スプレーボトルに入れ、部屋ごとに置いて使っています」 持ち歩きには香水用のアトマイザーに入れて使用している。 「こういうことは用心しても用心しすぎることはありません。気を緩めないことですね」 マスク、手洗い、うがいが当たり前になった2020年。手指や室内の消毒も徹底させよう。(2020.9.27(日) 22:05配信 クロワッサンONLINE)

非常用持出バックが防災対策と思っている方はとても多くいます。ところがそうではありません。命を守る対策が一番重要です。その上で命を繋ぐ対策・備蓄が必要です。辻直美さんがおっしゃる通り家にあるものでなんとかする。その知恵と工夫こそが肝心です。