【停電・断水を乗り切る知恵】
台風による風災でほぼ全域にわたって停電した千葉県。電力がダメでも都市ガスや水道なら大丈夫だと思っていたが、電気がないために給湯器が使えなかったり、給水ポンプが止まってしまったマンションもあった。こうなると、キャンプ用品などで、ありとあらゆる知恵を絞って乗り切るしかない。
南海トラフ巨大地震の想定では、電力の復旧までにかかる日数は東海で1週間、近畿で数日~1週間、最長の四国でも1~2週間程度。おおむね1週間もあれば電気が送られてくる想定だ。上水道は少し長引き、四国だと復旧まで6~8週間かかる。
もちろん、今回の千葉県の例を持ち出すまでもなく、この復旧日数をうのみにはできない。災害は“想定外”を想定しなくてはいけないのだ。もっとも、自宅にあるモノでも意外と簡単に代用品が作れるものだ。まずは照明器具だ。
「懐中電灯の電池切れなどの非常時には、サラダ油を使った簡易ランプが重宝します。用意するものはコップとティッシュペーパー、そしてアルミホイル。ティッシュで芯を作り、アルミホイルで支えます。ロウソクより少し暗くはなりますが、およそサラダ油5グラムで3時間ほど明かりがつきます」((財)市民防災研究所)
警視庁災害対策課もこの方法を紹介。ロウソクは転倒時の出火が気になるが、「コップが倒れてもサラダ油に火がつくことはありません」(前出の研究所)。ツナ缶やバターを使った簡易ロウソクより臭いが少ないのも魅力だ。
簡易トイレがない場合は…
次はエアコンの代用品。さすがにこれからの時期は冷房は必要なくなるが、冬場はストーブが欲しくなる。その場合は鍋料理に使うカセットボンベの「カセットガスストーブ」だ。
「カセットコンロと同じで電池などは必要ありません。写真の『デカ暖』(メーカー希望価格2万4000円)ならカセットボンベ1本で2時間半ほど燃焼します。ただし、テント内や車内では絶対に使用しないでください」(岩谷産業)
防災用としてカセットボンベを備蓄している家庭は多いので、これはかなり使えそうだ。一方、冷蔵庫の代用にはキャンプ用のクーラーボックス。アウトドアの老舗ブランド「コールマン」のエクストリームなら保冷日数は5日ほどもある。
また、断水によるトイレ問題もある。千葉県の大停電ではマンションの給水ポンプが止まり、各フロアに水が届かなくなった。
「災害時に排水管が壊れている場合は、水洗トイレを使うと汚水があふれたり、逆流する危険性がありますので、トイレに水は流さないでください」(LIXIL)
排水管が大丈夫ならバケツの水でトイレは流れるが、長期の断水を考えれば簡易トイレの備蓄は必須。それもなくなれば、最悪のケースは「オムツ」になる。赤ちゃん用オムツの吸水量は400~800㏄ほど。大人の1回のおしっこが200~400㏄なので十分に対応できる。大人用はさらに吸水力があり、「リフレはくパンツ/夜用スーパー」は900㏄だ。
一部で吸水性ポリマー配合の「猫砂」が代用できるという声もあるが、猫のおしっこ(20㏄)とは量が違うので、これはやめた方がいい。(2019.10.1(火) 9:26配信 月刊ゲンダイDIGTAL)
家庭にあるものを利用して災害時の困難を乗り切りましょう。そのためには日ごろからいろいろと試しておくことが大切です。お休みの日の1時間だけプレーカーを落として生活してみるなんてこともやってみると気付きがたくさんあります。