地震だけでなく、集中豪雨による水害など、自然災害が頻発しています。今年は台風が、各地に大きな被害をもたらしました。災害時に避難所となる公立学校施設の防災機能の充実は、喫緊の課題です。非常用発電機や断水時のトイレ対策などハード面の整備だけでなく、避難所運営の計画づくりの遅れが課題として見えてきます。

トイレやガス、電源確保に課題

災害時の避難所としてすぐに思い浮かぶのが、地域の公立学校です。国は2011年の東日本大震災や16年の熊本地震、昨年の西日本豪雨などの被害を踏まえて、地域住民の避難生活の拠点としての学校の役割をどう整えるか、提言を出して、自治体に取り組みを促してきました。全国の公立学校施設の防災機能の保有状況も調査しています。最新の調査によると、2019年4月1日現在で、避難所に指定されている学校数は3万349校です。全国の公立学校数が3万3,285校ですから、9割が避難所指定されていることになります。のうち比較的整備が進んでいるのは、備蓄倉庫(78.1%)、飲料水(73.7%)、災害時利用通信(80.8%)です。これらに比べれば、非常用発電機等(60.9%)、LPガス等(57.1%)、断水時のトイレ(58.3%)は、整備に課題を残しています。

2014年3月に文科省が公表した報告書「災害に強い学校施設の在り方について~津波対策及び避難所としての防災機能の強化~」では、災害発生から避難所の解消までのプロセスを、(1)救命避難期期(発災直後から避難直後まで)(2)生命確保期(避難直後から救援物資が届き始めるまで)(3)生活確保期(救援物資が届き始めてから教育活動再開まで)(4)教育活動再開期(教育活動の再開から避難所閉鎖まで)……4つの段階に区分しています。特に電源・ガス・トイレは、救援物資が届く前の(2)に必要とされる機能です。今回の調査から、停電や断水を想定して、優先的に整備すべきものと言えるでしょう。

利用計画策定、半数が未整備

学校が避難所として運営される場合、体育館や教室、校庭などをどのように使い分けていくかも、あらかじめ決めておく必要があります。避難者の居住スペースと、避難所運営に必要なスペースを分け、障害児者、高齢者、妊産婦、感染症患者といった、配慮が必要な人たちの専用スペースも確保する必要があります。校長室や職員室などは情報管理の観点から、また学校で授業を再開する場合も想定して一般開放すべきでない場所もあります。

こうした「学校施設利用計画」を策定している学校数は、51.3%と約半数にとどまっています。ほとんどの学校が地域の防災担当部局との連携・協力体制を構築している(95.8%)にもかかわらず、災害時、具体的な学校スペースの運用方法が定まっていない現状が浮かび上がってきます。前回2017年の調査時の策定状況は39.7%でしたから、改善は進んでいるものの、災害はいつ襲ってくるかわかりません。今後もいっそうの改善が望まれるところです。(2019.11.21(木) 10:20配信 ベネッセ教育情報サイト)

大規模災害が発生したときに避難所のキャパシティも課題です。全ての避難者を受け入れられないという実態については棚上げ状態状態です。さらにはスフィア基準の準拠の課題も同様です。日本の避難所は人道的に問題があり海外からは難民キャンプ以下だと指摘されています。災害関連死は避難所で起こってるということを真剣に考える必要があります。