ここ数年、専門家の間で首都直下地震が起こる可能性について、声があがっています。首都直下地震対策のキーワードとして“レジリエンス”と“デ活”の2つ。

レジリエンスとは、回復力や弾力性などを指す言葉で「地震の衝撃にやられない強さではなく、ダメージを受けてもしなやかに立ち直る力」。都市部の地震はレジリエンスが大事。また、その1つとして“デ活”こと、データの利用・活用の必要性。

民間には防災の役に立つたくさんのデータがあるそうです。例えば、エレベーターの一つひとつにセンサーが付いていることや、携帯電話会社ではデータをうまく活用することで人々の避難の動向を把握できる可能性があるなど、これらをトータルで使えるようにしていくことで防災の可能性はさらなる広がりを見せるのです。

◆「首都直下地震」の被害試算

首都直下地震で何が起きるのか、内閣府による2013年度の首都直下地震対策検討ワーキンググループのデータをもとにした試算データを紹介。冬の夕方どきの発生で、都心南部を震源地と想定した場合、次のような被害が起こり得るそうです。

死者……最大2万3,000人(うち7割が焼死)
避難者……最大720万人(発生2週間後で)
停電……管内の5割で/1週間以上
ガス停止……管内の3割で/1ヵ月以上
鉄道不通……JR、私鉄 約1ヵ月/地下鉄 1週間

さらに過去の震災と比較した試算も提示。建物の全壊及び焼失の数を見てみると、阪神淡路大震災が約11万棟、東日本大震災では約12万棟だったのに比べ、首都直下地震での試算はおよそ61万棟。この数からして相当の仮設住宅が必要になることは誰の目にも明らかです。仮設住宅を10万戸と少なく見積もっても、その敷地面積は山手線の内側のおよそ6分の1に匹敵することから、「どこにそんな土地があるのか」と疑問。また、災害廃棄物量で比較してみると、阪神淡路大震災は約2,000万トン、東日本大震災は津波堆積物も含め約3,000万トンでしたが、首都直下地震では最大1.1億トンに及ぶと想定されており、仮置き場や処分をするための必要面積も膨大であると指摘。

これだけの甚大な被害に対する備えとして、「(これまでとは)全く別の発想をしなくてはならないのでは」。そこで、今やるべきこととして、「社会科学的アプローチ」、「地震学的アプローチ」、「工学的アプローチ」と3つのアプローチを提示。

社会科学的アプローチとして、前述の“デ活”の重要性を改めて強調。保険会社の地震保険の査定に関する調査ノウハウは素晴らしいそうで、「さまざまな企業が持っている(地震対策に有益な)情報を一本化できないか。こうした情報をもっと活かし、災害時のレジリエンスに」と声を大にします。しかし、現状はまだまだと言い、取り組むべき課題が数多くある。

◆「必ず起きる」と考えること

「一人ひとりができることを」と呼びかけます。何かが起きないように祈る、願うなど目を背けるのではなく、「何かが必ず起きる」と考えるべきとし、そして起きたときに「では、何をどうする?」と行動に目を向ける“心理的レジリエンス”を個々で持つことが大事。(2019.2.28(木) 23:03配信 TOKYO MX)

関東圏で発生が懸念されている首都直下地震は甚大な被害が想定されています、想定されているすべてが想定外になる可能性があります。自然災害に立ち向かうことはできませんが、我々にできる事は一人ひとりが「その来る日」に備えて防災・減災対策をすることです。その備えが大切な人の命を守る事になるのですから。