手島千尋アナウンサーがパーソナリティを務めるTOKYO FMの番組「防災FRONT LINE」。8月1日(土)の放送では、水害に詳しい公益財団法人 リバーフロント研究所の土屋信行さんに「内水氾濫」について伺いました。
大雨による災害、気をつけなければならないのは河川の氾濫だけではありません。都心や市街地に住んでいても、住宅が浸水してしまうなどの危険性があります。
それが「内水氾濫」です。内水氾濫とは、市街地に短時間に大雨が降ったとき、下水道や排水路が水をさばききれなくなることがあり、溢れてしまった水が建物や道路を浸水させてしまうという水害です。
この内、水氾濫は都市部で起きることが多く「都市型水害」とも言われています。
また、河川の氾濫よりも、雨が降ってから浸水被害が発生するまでの時間がとても短い、というところが特徴です。
土屋さんは、「住んでいる地域によっても、雨がたまるスピードが違う」と指摘します。例えば「東京都は、武蔵野台地から西側は、ゲリラ豪雨があると急に水位が上がるような『都市型河川』が多いんですね。
東は海抜0メートル地帯が広がっていますが、比較的真っ平らな地形なのでじわじわと水位が上がります。内水氾濫でも、地域によって水のたまり具合が違いますので、自分の地域について理解して、避難行動に結びつけていただきたい」と注意を促します。
また、浸水危険エリアは「地名からも判断できる」と土屋さん。
「名前だけ“川”が残っている千川通りや桃園川通りとかですね。(地名に)川の名前がついているけど“川は見えないぞ”というところは、急に雨が降り出して20~30分で、いきなり水位が1~2メートル上がります。そうすると、人が流される危険もあります。川ではなく、“道路”で人が流されることが想定される」と警鐘を鳴らします。
さらに土屋さんは、川の地名以外に“谷”がついている地名にも注意してほしいとも。
例えば、東京都渋谷区。渋谷駅前のスクランブル交差点からまわりを見てみると、宮益坂や道玄坂など“坂”に囲まれています。つまり、どの方向からも水が流れ込む危険性があります。
東京都には、そのほかにも四谷(四ツ谷)や日比谷、茗荷谷(みょうがだに)など“谷”がつく地名が多くあります。
自分の家の近くに、川や谷のついた地名がないかあらためて確認してみてください。 あなたが住んでいる地域で内水氾濫が発生したとき、マンホールから水が噴き出していたり、坂道が濁流となったりすることで避難所に行くことが困難な場合もあります。
通常、雨が止めば数時間で水が引くことが多いので、避難所へ行くより、建物の2階以上へ移動する「垂直避難」が安全な場合もあります。
いま住んでいる場所がどれくらい浸水する可能性があるかを確認しておきましょう。それが、安全な避難行動へとつながります。(2020.8.6(木) 7:21配信 Tokyofmplus)
やっと梅雨が明けて真夏のシーズンですが、それは台風シーズンでありゲリラ豪雨シーズンでもあります。内水氾濫はどこででも発生する可能性があります。特に都市部においては被害が拡大する可能性を秘めています。あわてず垂直避難を行いましょう。