「もうマンションを買ってもいいかな。でも損はしたくないし、ローンも怖い」。そんなあなたが買うべきは、「60m²前後」×「駅徒歩7分以内」×「2001年以降完成」のマンションしかありません。

● マンションを買う前に知っておくべきこと

高度経済成長期に人口は増え、インフラを整備し街も大きくなっていきました。しかし今後は生産年齢人口(15歳以上~65歳未満)が減少して税収が減り、住民の高齢化によって福祉や医療費の負担などは増え続けます。インフラももう古くなってきているのに、予算の関係ですぐには手をつけられないことも多々あります。こうした事情を踏まえ、街の中心部に比べて、郊外の世帯数が少ない(人口密度の低い)地域を立地適正化計画区域に指定し、住宅や役所・学校などの公共施設、医療・福祉・子育て施設、商業施設などを街の中心部である「居住誘導区域」に集約する計画(立地適正化計画)が進んでいます。

要約すると、「広範囲にわたって人が住んでいるのを中心部に集約して、人口密度を保ち、行政サービスやインフラ整備を効率化する」という計画です。立地適正化計画区域における居住誘導区域「外」のエリアは、今後、商業施設、医療施設、教育施設など生活していくうえで欠かせない施設がなくなり、資産価値が下落するのは目に見えています。既に具体的な取り組みを行っている市町村が440あります(2018年12月31日時点)

● 今後の注意点は?

購入を検討している物件が立地適正化計画区域に指定され、居住誘導区域「外」になっていないかどうかを国土交通省や各自治体のウェブサイトで確認しましょう。「立地適正化計画作成の取組状況」と、ネットで検索するとすぐ出てきます。また、現時点で計画がなくても、今後、計画されるかもしれません。「駅から遠い場所」や「災害が起こる可能性があるとされている場所」などは注意が必要です。

特に、津波による浸水が予測される地域や、強い地震が発生したときにがけ崩れが発生する可能性のある土砂災害警戒区域などは、自治体が今後「居住誘導区域」から外していく可能性があります。人口密度が維持される予定のエリアと、そうではないエリアとでは資産価値に大きな差が出るのは言うまでもありません。

今後、働き方の変化、働く場所の多様化などから、リモートワークが導入され、自宅や自宅近くのシェアオフィスで仕事をするといったフレキシブルな働き方が増えていきます。そうなると、これからは会社への通勤のしやすさを考えずに、住みたい場所に暮らすという人も増えるかもしれません。安全性に不安のない場所であれば、思いっきり価格が安い場所に住むという考え方もあります。しかし、それが立地適正化計画の居住誘導区域「外」の場合は、前述のような可能性が残りますので、注意しましょう。(2019.3.13(水) 6:00配信 DIAMONDonline)

防災の観点からいえば、災害の発生に伴い被害を受ける可能性があるエリアは選択すべきではありません。それが利便性がよく、職場からも、駅からも近い場所にあったとしてもです。4月という月は多くの新社会人、学生が新しい住居で一人暮らしを始める月でもあります。住居の購入に限らず、賃貸であろうともまずは住もうとしている場所がどんな場所なのかを調べる事はとても大切です。