熊本県南部を襲った豪雨から4日で1カ月を迎える。同県内では、浸水などで住まいを追われた約1500人が今なお避難所暮らしを余儀なくされている。

2016年の熊本地震などを教訓に、避難所の住環境は改善。だが、国内では新型コロナウイルスが再び猛威を振るっており、狭い空間での共同生活の中で感染への不安を募らせ心身に不調を来す避難者は少なくない。

長期化する避難生活を支えるため、休み返上で働く行政や医療関係者の疲労もピークに達している。

「抵抗力が落ちているし、コロナは怖い」。

同県芦北町の福祉施設「きずなの里」に身を寄せる川畑清司さん(72)は顔を曇らせる。腎臓を患い、週3回の透析が欠かせない。万が一感染すれば命に関わる懸念もある。8人同居の大部屋内に間隔はあるが、「避難所で1人でも出たら…」。  

最多の約350人が避難する人吉スポーツパレス(同県人吉市)内の武道場。70代の女性は毎晩、段ボールベッドで終日着けていたマスクを外して一息つく。日中は、汗だくで半壊した家の片付けに追われる。自宅ならマスクなしで過ごせるが、避難所では「人の目もあり外しづらい」と息苦しさを我慢するしかない。

コロナ再拡大の状況では、避難者の孤立感を和らげ、悩みを分かち合う「集い」の場もつくりにくい。

同市の避難所は交流スペースを設などへの配慮は、どの避難所でも一定程度は行き届くようになった。それでも、避難者からは「心労がたまり病気になりそう」「家族や友人にも気を使い相談できない」との悲痛な声が上がる。

同県八代市の避難所には、医療関係者有志でつくるNPO法人「ジャパンハート」の看護師らが常駐。間仕切りの内にこもりがちな高齢者に声を掛けて回っている。

一方、ある自治体の避難所では人員不足のため、担当職員が夜勤明けに通常業務に入る場合があるという。感染予防にも心を砕き「疲労が日増しにたまる」(職員)。

仮設住宅の入居時期を考慮すると、避難所の閉鎖は当分先。「それまでは頑張らないと」。心身ともぎりぎりの状態での仕事が続く。(2020.8.3(月) 10:54配信 西日本新聞) 

コロナ禍のなか、明らかに避難所の運営について自治体の職員さんも避難される地域住民のみなさんもこれまでにない負荷がかかっています。今後は自助・共助・公助の考え方が大きく変わってきます。どのようにすれば災害から大切な命が守れるのかを考える必要があります。