宮城県教委は4日、東日本大震災の津波で児童74人と教職員10人が犠牲となった石巻市大川小で、新任校長対象の防災研修会を開いた。大川小での実施は初めて。
参加者は児童遺族の話に耳を傾け、学校防災強化への誓いを新たにした。
県内の小中高校などの校長計90人が参加。児童遺族らでつくる「大川伝承の会」共同代表の佐藤敏郎さん(57)=石巻市=と、名取市みどり台中校長の平塚真一郎さん(54)=同=が講師を務め、事故の教訓を訴えた。
大川小6年の次女みずほさん=当時(12)=を失った佐藤さんは、児童らが地震発生後の約45分間校庭にとどまり、津波襲来直前に避難を始めて被害に遭った経緯を説明。
「教員一人一人の危機意識が組織の意思決定につながらなかったことが問題。教訓として学ぶべき部分だ」と強調した。
6年の長女小晴さん=同(12)=を亡くした平塚さんは、昨年10月に確定した大川小津波事故訴訟の仙台高裁判決が学校側に高度な防災対策を求めた点に言及。
「命を預かる職業として当たり前のことと考えるべきだ」と呼び掛けた。
参加した大崎市松山小の岡本由紀校長(49)は「教職員は子どもの命を守ることが一番大事だと痛感した。研修で感じたことを教職員や児童に伝えたい」と話した。
参加者は石巻市河北総合センターで、学校防災体制の再構築に関するグループワークなどに取り組んだ。
研修を見守った大川小訴訟原告団共同代表の只野英昭さん(49)は「良いことだが、震災10年目の実施は遅い。県には全国をリードする水準の研修をしてほしい」と注文した。
県教委は今年2月に学校防災の在り方を探る検討会を設けて議論を進めてきた。大川小での研修は来年度以降、新規採用した全ての教職員に対象を広げることを検討している。(2020.11.5(木) 9:16配信 河北新報ONLINE NEWS)
記事にもありますが、取り組みとしては素晴らしいのですが、とにかく遅い。国として県としてスピード感が全くありません。Hard的な復興にばかり取り組んでいるという印象です。一番大切なことはSoftの構築です。防災意識と知識を習得している人材を育てることが災害大国日本にとって最重要課題です。