地震、台風、そして感染症の拡大…と、心配がつきない日々が続いています。だからこそ、防災は「知る」「備える」ことが大切です。必ず「その時」はやって来ます。その時、ママ、パパの「気合い」「思い」だけでは命は守れません。防災ママカフェ®主宰、一般社団法人スマート サプライビジョン特別講師のかもんまゆさんに聞きました。「今こそ考えて備える防災」連載の1回目です。 

赤ちゃんを守るために「備災」を始めましょう

育児に家事に、毎日忙しいママやパパにとって、災害について考えることは、「いつ来るかわからないのに準備するなんて、正直面倒」「怖いから考えたくない」「行政とかがどうにかしてくれるだろう」となるかもしれません。でも、「その時」は必ずやって来ます。 ママ・パパの「気合い」「思い」だけでは赤ちゃんの命は守れません。赤ちゃんは防災リュックの準備も、備蓄も、逃げることすら一人ではできません。親の準備と行動に、小さな命がかかっています。 災害から小さな命を守るためには、いきなり防災リュックから準備するのではダメ。3つの“備災ステップ“が重要です。

【STEP1】まずは「敵」を知る~自分たちが住む&働く地域にどんな危険があるのかを知ろう

災害から命を守るためには、まずは「敵」=自分たちを襲う災害が何なのかを知ることが大切。敵によって戦い方や準備するものが変わるからです。

■ハザードマップを入手・確認する 自宅や職場周辺の、想定最大震度、津波想定の有無、大雨や台風で河川が決壊したときの浸水地域などを調べ、あらかじめ知っておきましょう。ハザードマップは各市区町村の市役所で配布されていたり、WEBでも閲覧可能です。

■土地の特徴を知る 同じ地震でも、地盤の強度や地形などによって被害は大きく異なります。WEBなどを使って、住んでいる土地の地形や地盤の種類、過去の災害の歴史などを知っておきましょう。水や沢、田など、地名からも、過去どんな土地だったのかがわかる場合があります。

【STEP2】次に「自分」を知る~家族の弱点を知り、シミュレーションしておこう

「敵」=どんな災害が起きるのかがわかったら、次は「実際に災害が起きたとき、自分たち家族がどうなるのか」、被災後をシミュレーションしてみましょう。具体的に「避難に時間がかかる」「アレルギーがある」など、家族の弱点(ウィークポイント)を挙げて、対策を考えましょう。

■ママやパパの勤務地が自宅から遠い 災害時に帰宅が難しかったり、連絡がとれなくなり、夫婦がばらばらに行動せざるを得ないことも。必要な電話番号は手帳などにメモしておいて。

■赤ちゃんや高齢者と同居している 赤ちゃんや小さな子ども、高齢者は素早く行動することが難しく、重たい物も持てません。身体的・精神的に、避難所での生活が難しい場合もあります。

■家の物が多い 家の中で物が散乱すると、安全に避難できず、逃げ遅れがちに。廊下や玄関前など出入り口の近くには物を置かず、動線を確保することが大切です。

【STEP3】「その時」のために“備災スタンバイ”を始めよう

ここでようやく「具体的な備え=武器の準備」に入ります。武器とは「敵の力」と「自分たちの能力」を見極めた上で、そのギャップを埋めるもの。くれぐれも何も知らないうちから防災グッズのことばかり考え、役に立たない備えにならないようにしましょう。

■家の中に安全地帯をつくる 直下型地震で多いのが、家屋の倒壊、家具の転倒による圧死や窒息死。地震が数十秒~数分続く中、「つぶされない」場所はどこか考え、作っておきたいところです。

家具を固定する 地震発生時に「落ちない」「倒れない」「動かない」よう、家具を固定しましょう。とくに寝室にはなるべく物は置かず、十数kgあるエアコンの下では寝ないで。

■家族と防災ミーティングをする 被災後の集合場所や避難経路、家族が離れ離れになってしまったときの連絡方法など、あらかじめ確認を。毎朝、「家族の今日の予定」を共有することが大切です。

■家族が安心できる「備蓄」と「持ち出しグッズ」をまとめる 災害時にないと困るものを安心できる数だけ備蓄。非常時に持ち出すグッズは、防災リュックなどにまとめ、玄関や廊下など避難の動線上に用意します。

赤ちゃん用グッズは成長に合わせて見直しを

大人と違って、赤ちゃんは「食べ慣れないもの」「おいしくないもの」は食べません。普段から赤ちゃんが好んで食べている、または一度食べさせたことがあるベビーフードなどを備蓄しておきましょう。 また、赤ちゃん用グッズは、非常時はほとんど入手困難に。紙おむつやウエア、ベビーフードなどは、最低半年に一度、季節の変わり目などにも、成長に合わせてサイズや内容を見直しましょう。

[おうちに備えておきたいベビーグッズリスト]

■紙おむつ&防臭袋

■おしりふき

■使い切りタイプの粉ミルクや液体ミルク、使い捨て哺乳びんなど ・被災時に母乳が出にくくなることも。

あると安心

・液体ミルクは1回試しておくと安心

・使い捨て哺乳びんがあると断水時も衛生的

■発熱剤&加熱袋 ・湯を沸かせないことも想定して準備

■ベビーフード

■歯磨きシート

■赤ちゃん用の飲料水(水、イオン飲料、麦茶など)

■スプーンやコップ、スタイなど(断水時は洗えないため、使い捨てタイプを用意)

「今、買えなくなると困る!」を基準にストックしましょう

被災時は、完全に物流が途絶え、お店に商品は無くなると覚悟しておきましょう。「今、買えなくなると困る」ものは、普段から1つ2つ多めにストックしておくことをおすすめします。常に一定量を備蓄し、使った分だけ新しく買いたす「ローリングストック」方法を生活に取り入れましょう。

[おうちに備えておきたい大人用の食料品リスト]

■飲料水 ・大人1人当たり1日につき3Lを目安に、最低3日分、できれば1週間分を備蓄。

■食料品 ・「日もちする」「かかさばらない「すぐ食べられる」もものが。

・被災のショックで食欲が落ちることも。好きなもの、食べやすいものがおすすめ。

■紙皿、紙コップ、割りばしなど

・断水などで水が貴重になることも。使い捨ての食器や箸を備蓄しておくと、水が使えないときでも衛生的です。

■食品用ラップ

・断水時は、紙皿に食品用ラップを敷いて、繰り返し使えば衛生的。

備蓄グッズの使い方を予習しておきましょう

カセットコンロや非常用ラジオなど、普段使い慣れていない場合、いざというときも急には使えないかも。平時に正しい使い方をしっかり予習しておくことが大切です。

[おうちに備えておきたいライフライングッズリスト]

■タッチライトや懐中電灯

・枕元にも用意しておこう

■非常用ラジオ

・懐中電灯とセットになったタイプ、電池式、ソーラー充充電式どさまざま。使いやすいものを選んで。

■レインコートやポンチョ

・家族の人数分用意を!

■ウォーターバッグ

■カセットコンロ・カセットボンベ

■モバイルバッテリー

・家族と連絡をとったり、災害情報を調べるために活躍するので、スマートフォン用は必ず用意して。

・停電時はモバイルバッテリー自体の充電も困難です。ソーラー充電ができて、大容量のタイプだと安心。

■軍手

■コンパクトになるダウンジャケット

■使い捨てカイロ

■眼鏡

・コンタクトレンズ ・被災後は手に入りにくいアイテムなので、予備を準備。

感染症予防のためにもしっかりと衛生グッズを揃えておいて

衛生状態が悪くなると、感染症などにもかかりやすくなることも。忘れがちな「衛生グッズ」ですが、被災時にはなかなか手に入らないものばかり。しっかり準備をしておきましょう。

[おうちに備えておきたい大人用の衛生グッズリスト]

■トイレットペーパー

■ティッシュペーパー

■簡易トイレ

・簡易トイレはさまざまなタイプがあります。小さな子どもには、しっかり座れるタイプが安心。

■応急処置用医薬品

■生理用品

■除菌ウエットティッシュ

■マスク

■洗眼剤

・被災地はほこりが出やすく、目が痛くなることも。断水のときに、洗眼剤があると役立ちます。

■マウスウォッシュ、ドライシャンプー、歯磨きシートなど

「『備災』は親の愛情」とかもんさんは言います。赤ちゃんのいのちと家族の笑顔を守るために、今出来ることをはじめましょう!(2020.10.8(木) 17:35配信 たまひよon-line)

防災とはリスクを知り、自分の弱点を知って備えることです。まずは自分のいる場所にどのような災害リスクがあるのかを知りましょう。次に自分自身と家族にどのような災害に対する弱点を知りましょう。そのうえでリスクと弱点を補ってくれる防災対策を行いましょう。防災対策とは防災バックを買う事ではありません。