2018年7月の西日本豪雨で、京都府福知山市に避難勧告・指示が出ていたことを知っていたとする市民が96%に上る一方、避難したのは11%にとどまったことが、市の調査でわかった。危険性を認識しながら避難行動につながっていないケースもあると考えられ、市は有識者らを交えた検討会で議論を進める。

西日本豪雨では、市内には7月6日午後10時50分に大雨特別警報が発表され、全・半壊は54戸、床上・床下浸水は1161戸に上り、災害救助法が適用された。市では近年、災害が相次いでおり、避難行動のあり方を検討するため、19年2月に無記名のアンケートを行い、713人が回答した。

その結果、避難勧告・指示の発令について96%が知っていたと回答したのに対し、避難したは11%にとどまった。実際、市が開設した広域避難所の避難者は最大時で全市民の1・2%にあたる943人で、地域が開設する避難所や親族の家、自宅内の安全な場所への避難を含めても一部となっていたことがうかがえる結果となった。市危機管理室は「情報が届いている人に避難行動につなげてもらうことも課題として浮かび上がった」と指摘する。

避難したと答えた人がきっかけとしたのは「市からのメール」30人、「降雨や河川水位状況を見て」29人、「市からの放送による呼びかけ」26人、「家族や近隣住民からの呼びかけ」18人などだった。

避難しなかった人は、理由として▽自宅から見える周囲の様子から安全と判断▽避難する方がかえって危険と思った▽自宅に直接的な被害がなかった――を挙げる人が多かった。なかには、「避難所で過ごすことに躊躇(ちゅうちょ)した」や「支援がなくて避難できなかった」といった回答もあった。

また、避難の判断にほしかったにもかかわらず十分得られなかった情報としては、「どの地域が浸水しているか」「各種河川情報」「降雨量や今後の見通しなど」が多かった。

西日本豪雨では、住民らに避難を促された30分後に土砂崩れが起きたほか、崖崩れで家に土砂が流入したが、山とは反対側で寝ていたため、事なきを得た例もあった。

市は「複数手段で適時、情報発信しているが、自分への影響や災害リスクの把握が十分でない場合、避難行動に移っていない」と分析。住民が主体的に判断できるよう、地域の危険箇所を網羅したマイマップ作りなどを通じて普段からの防災意識向上を訴えていく考えだ。(2020.1.17(金) 11:44配信 読売新聞オンライン)

避難情報をどのように使うのかが重要です。そのために必要なことは事前の準備です。自分が住んでいる自宅あるいは職場にはどのような災害が発生する可能性があるのかを知っていなければ情報を分析して行動には移せません。何事も事前の準備が大切です。