■住宅ローンの団信に付けられる自然災害補償

ここ2,3年の動きですが、団体信用生命保険に「自然災害補償」の特約が付けられる住宅ローンが増えています。対象となる物件が被災した際の補償内容は住宅ローンによって異なりますが、大きく分けると2タイプあります。

・一定期間の住宅ローン返済を免除するタイプ

・債務が一部消滅するタイプ

どちらかというと、一定期間の住宅ローンの返済を免除するタイプが多いようです。現在、こうした自然災害補償が付けられる住宅ローンを取り扱っているのは次のような金融機関です。

<自然災害補償が付けられる住宅ローンを扱う金融機関>

・三井住友銀行「自然災害時返済一部免除特約付住宅ローン」

・みずほ銀行「自然災害支援ローン」

・りそな銀行「自然災害サポートオプション」

・新生銀行「あんしんパックS(自然災害に備えるプラン)」

・北日本銀行「自然災害サポートプラン」

・筑波銀行「<つくば>自然災害時返済一部免除特約付住宅ローン」

 ほか 

■具体的な補償内容は?

具体的に2つの商品例をみてみましょう。

A銀行の例では、約定返済プランと残高補償プランの2つがあります。約定返済プランは、地震や豪雨などの自然災害に被災した場合に、罹災規模に応じて住宅ローン債務が6回、12回、24回分が免除されます。一方、残高補償プランは、地震や津波等で自宅が全壊した時に、建物部分の住宅ローンの50%の債務が免除されます。同特約は新規の住宅ローンしか付けられませんが、途中ではずすことは可能です。この補償のコストとしては、約定返済プランが住宅ローンの金利に+0.1%、残高補償プランに+0.3%です。

■「あと少しのサポートがあれば」に役立つ

自然災害の被災者の中には、住宅ローン返済中の自宅が損壊し、二重ローン問題からスムーズに生活再建を進められない人もいます。大規模災害の場合、住宅ローンの返済が猶予されても、返済しなくていいわけではありません。火災保険や地震保険に入っていても、建物の再建費用にはなっても住宅ローンは残ります。地震で被災した場合は火災保険の50%までしか付けられず、再建自体も十分にはできません。「自然災害債務整理ガイドライン」等に基づく債務整理(住宅ローン等を借りている被災者が、破産手続きなどによらず、金融機関との話し合いで住宅ローンの減免を受けること)を利用する方法などもありますが、「あと少しのサポートがあれば」という状況の時には、こうした補償が助けになると考えられます。(2019.10.23(水) 6:00 永続家計アドバイザー)

被災した後の再建には多額の資金が必要になります。特に住居の再建には二重ローンの問題などがありスムーズに進められない被災者が多いのが現実です。被災された方には何の過失もないのです。国として自治体として救済策を拡大する必要がありますが、民間レベルでもこのような商品開発をすすめることは大変意味のあることだと思います。