【大地震 万が一の備えと行動】

仕事に取り掛かろうとした人も、ドキッとしただろう。新潟県村上市で震度6強を記録した山形県沖の地震から6日後の先月24日、東京沿岸部もドスンと揺れた。突き上げるような揺れは、次第にガタガタと小刻みな揺れになり、ネット上には「(大地震)ついに来たか!」といった投稿も相次いだ。万が一のとき、備えはどうするか――。

■新潟は雪国仕様で全壊ゼロ

先々週の地震で被害が大きかった村上市では、大規模半壊が3棟、半壊が20棟、一部損壊が553棟あるものの、全壊はゼロ。山形県鶴岡市も、一部損壊が200棟近くあるが、全壊はない。

震度の割に全壊がなかったのは、地域的な事情もあるだろう。災害危機管理アドバイザーの和田隆昌氏が言う。

「新潟や山形は雪国で、雪国は冬の雪の重さに耐えるように設計されるため、そうでないエリアより比較的耐震性が高い。今回の地震で被害が最小限で済んだ要因のひとつに雪国仕様の耐震性があると思います」

なるほど、昨年の大阪北部地震は震度6弱で、震度は村上市を下回るが、被害は村上市より深刻だった。全壊は18棟だ。半壊は512棟で、一部損壊は5万5000棟を超える。地震による住宅被害には、地盤や地震波などいろいろな状況が影響するとはいえ、やっぱり耐震性は大事だ。

そんな状況を受けて、京都府で最多の家屋被害があった南部の八幡市では、耐震診断の助成件数が急増。昨年度は、その前の年度の4倍を超える106件だ。同じく宇治市や城陽市などでも、耐震診断の助成件数が軒並み増えている。前出の和田氏が言う。

「今年の新潟や昨年の大阪など、地震による住宅被害は大半が木造です。住宅の耐震化ということを考えると、やっぱり木造が優先でしょう」

たとえば、横浜市は今後30年以内に震度6弱の発生確率が82%で、市は対策を急ぐ。1981年5月末以前の旧耐震基準で建てられた木造で持ち家なら、無料で耐震診断士の派遣を受けられ、耐震改修工事には一般世帯で最大100万円が助成される。東京の大田区や江戸川区などにも、同様のサポートがある。自治体に問い合わせてみるといいだろうが、工夫があるという。

「住宅を丸ごと耐震化するとなると大変で、家主が高齢だと二の足を踏むでしょう。しかし、丸ごと耐震化する必要はありません。最低限、寝室のみしっかりと耐震化しておくのが大切です。部分的な耐震化でも、自治体の補助が受けられますから。その上で、余裕があるときに、ほかの部分を補強すればいい」

■見過ごしやすい壁の補強

木造一戸建てでは、屋根にソーラーパネルを設置しているケースもあるだろう。見過ごしやすいのが、壁の補強だ。

「パネルがある側の屋根が相対的に重いので、地震のときはそちら側が崩れやすい。そんな木造家屋を耐震化するなら、パネル側の壁を補強するのが大切です」では、マンションはどうか。合意形成が難しいが、そこをクリアすれば補助は大きい。横浜の場合、災害時の避難や搬送などに重要な道路沿いのマンションなら、耐震診断や耐震改修設計にそれぞれ最大360万円、耐震改修工事に最大5000万円のサポートだ。

「台湾や中国などの地震では、鉄筋建築物が倒壊する映像が流れ、話題になりました。しかし、日本でマンションに限れば、倒壊リスクは低い。管理組合は、耐震診断を受けるかどうかの議論でいいでしょう」

倒壊リスクがあるのはオフィスビル。日本有数の高級エリアである東京・港区や中央区など都市部に危険な物件が目立つという。(2019.7.2(火) 9:26配信 月刊ゲンダイDIGITAL)

寝室の耐震補強はぜひ行って頂きたいと思います。家の中で安全なスペースを作っておくことも大切で、家族と話し合って下さい。また、各自治体ごとに補助金・助成金があります。お住いの地域がどのような制度になっているのかを一度確認してみてはいかがでしょうか?