南海トラフ地震は、西日本~東日本の南海上を震源域に起きるM8~M9クラスに達する(超)巨大地震で、過去数千年以上にわたって繰り返し起きてきました。日本付近で起きる地震としては最大規模の地震の一つと考えられます。

最悪で死者32万人の想定も

平成24年(2012年)、政府の有識者会議が南海トラフ巨大地震の被害想定を発表しました。それによるとM9クラスの地震が冬の深夜に発生し、東海地方がより強く揺れた場合では、最悪で32万3000人の死者が出るという衝撃的なものでした。被害は大津波によるものが圧倒的に多く死者23万人、次いで建物倒壊による8万2000人などとなっています。東日本大震災をはるかに上回り、世界的に見ても過去最大級の被害が発生する可能性があります。

平成時代はスキップ 次はいつなのか

南海トラフ巨大地震は繰り返し発生しています。その間隔は様々ですが、過去の事例では短い場合で約90年、長い場合で約260年開いています。前回は1944年/46年でしたので70年余りが経ちました。次回の地震が正直いつ起きるのかわかりませんが「260年間隔」のタイミングであれば、西暦2200年頃とかなり先です。しかし、これには油断できない背景があります。

前回の地震は南海トラフ地震としてはかなり「小さかった」のです。

1944年の地震 M7.9
1946年の地震 M8.0

となっていて、2つの地震が同時に起きていたとしても、規模はM8.1程度です。最近で最も大きい1707年の地震(推定M8.9程度※)と比べるとエネルギーは16分の1です。

つまり、前回の地震ではエネルギーを解放しきっておらず、次の地震に向かって、すでに多くのひずみエネルギーを溜めている可能性があるのです。国の地震調査研究推進本部では、10年以内の地震発生確率を30%程度、30年では70~80%としていますが、平成の次の新時代には、その切迫性が一層深刻になると考えられます。(※)1707年の地震規模は推定値にばらつきがあります。この数値は内閣府の検討会による断層モデルの値です。

連動型か分散型か

南海トラフ巨大地震の特徴は、関係するすべての海域の岩盤が一度に破壊される場合と、時間をおいて破壊される場合の2つがある点です。1361年や1707年のように一度に岩盤が破壊され、M9に近いとみられる地震が起きたものもあれば、1096/99年、1944/46年の事例では2年の間隔がありました。中には1854年のように32時間の間隔で巨大地震が連続したこともあります。

このように南海トラフ巨大地震の発生パターンはたいへん複雑なのですが、分散して起きる場合は、東海エリアあるいは東南海エリアの後に南海エリアで地震が発生する特性があります。同時に起きれば超巨大地震、分散した場合でも短時間に連続した場合は、救助作業の広域連携などに大きな支障をきたす可能性があります。しかも、次の地震がどういったタイプになるかはわかっていません。

来たるべき地震に備えて、国や自治体などでは様々な対策が図られています。また、私たちも津波や揺れへの備えなど、減災や自助共助について、より深く考えて行く必要がある、新たな時代となりそうです。(2019.3.31(日) 15:38配信 ウェザーニュース)

南海トラフ地震は必ず起きます。問題はいつ、どのくらいの規模で、どこにが不明確だということです。日本政府も地震の予知は現代の科学においては不可能であることから兆しや予兆といったものを日本国民に発信する体制と仕組みづくりに力を注いでいます。災害はいつか必ず起こるのです。その日がいつなのかを考えるのではなく、その日が来た時に後悔しない準備を対策を自ら進んで行って下さい。その瞬間、誰も助けてはくれないのですから。