手島千尋アナウンサーがパーソナリティを務めるTOKYO FMの番組「防災FRONT LINE」。9月26日(土)の放送では、夏以上に注意が必要な“秋台風”について紹介しました。

秋を感じることがすっかり多くなってきたこの時期、心配なのが“秋台風”。

実は、強い台風の日本への上陸数は、夏よりも秋のほうが多いんです。

気象庁では、最大風速33メートル毎秒以上を「強い台風」、44メートル毎秒以上を「非常に強い台風」、54メートル毎秒以上を「猛烈な台風」と分類しています。

この定義になった1999年以降で、日本に上陸した台風のうち、「強い台風」以上で上陸した台風の割合は、7月、8月がおよそ4割なのに比べて、9月がおよそ6割、10月はなんと8割以上と、季節が進むごとに増えているのが現状です。

9月は31個中18個、10月は9個中8個の台風が、「強い台風」以上となります。

では、一体なぜ秋の台風が強い勢力となるのかというと、大きく2つの理由があります。 1つは、海水温度が高いこと。台風は、海面から蒸発する水蒸気をもとに発達します。海水温度が高いと水蒸気の量が多くなり、台風が発生しやすくなります。海水は気温のピークよりも遅れて高くなります。

この結果、日本の近海の海水温度は夏よりも秋のほうが高いことが多く、台風自体が発達しやすくなるのです。

そして、もう1つの理由は台風の速度です。 台風は太平洋高気圧のふちに沿って北上したあと、偏西風に乗って東寄りに進みます。偏西風に乗ると、台風は一気にスピードアップします。 秋は偏西風に乗りやすく、夏の台風よりも本州付近を進むスピードが速くなります。

スピードが速いと、台風そのものの風に加え、移動の速さも加わって、風がさらに強まります。それだけに「夏台風は自転車並の速度。秋台風は自動車並の速度」と例えられるくらい、速さに違いが出るようです。

去年の台風19号、2017年の台風21号など、関東地方に大きな被害をもたらした台風は、いずれも10月に上陸しています。

今年はこれまで台風の発生数も上陸数も平年より少なくなっていますが、今後も油断はできません。

内閣府は9月4日(金)にLINEの公式アカウント「内閣府防災」を開設しました。これは、LINEで台風や豪雨時の「避難行動判定フロー」を確認できるというものです。

質問に対して「はい」か「いいえ」で答えていくことで、どのように避難・行動すればいいのかがわかります。

これからの「秋台風」に備えて、いざというときにすぐ行動して、自分の身を守れるよう、日頃から準備しておきましょう。(2020.9.29(火) 21:14配信 TOKYOFMplus)

近年の台風被害は10月に多く発生しています。季節は夏から秋に移り過ごしやすくなってきました。しかし台風に対する対策はこれからが本番です。台風は事前に進路や勢力などが分かります。万全な準備を怠らないようにしましょう。