2011年3月11日の東日本大震災が発生してから今年で9年。近年では激しい集中豪雨が頻発し、昨年の台風19号は各地で甚大な被害をもたらしました。さらに、首都直下地震や南海トラフ地震なども予想されています。こうした災害から命を守るには、適切な判断や日頃の備えが重要になってきます。そこで今回は、ホームライフ取材班の『「防災」のやってはいけない』(青春出版社)から、実際に災害に遭ったときの正しい対策を具体的に紹介します。

  •  室内で突然強い揺れに襲われたら、どう身を守る? 突然、強い揺れに襲われたとき、本当に身を守れるのは次の二択のうち、どちらでしょうか?

    (1)落下物を防げる机の下に急いで潜る
    (2)落下物の恐れのない廊下に急いで移動する

    いまの大人たちは、「揺れたら机の下に潜って身を守りなさい」と、小さなころから聞かされて育ってきました。そのため、地震のときには、机やテーブルの下に身を隠すのがベストだと多くの人は思っているでしょう。確かに、この姿勢をキープすれば、危険な落下物から身を守ることができそうです。しかし、この場合の正解は(2)です。揺れが強い場合、家具や家電などが大きく動き、倒れ、床を走るように移動することが知られています。そうなると、揺れが収まらないなか、机の下に身を隠し続けるのは難しいでしょう。それだけではなく、暴れる机が体にぶつかって、逆にけがをする危険もあるのです。揺れても歩けたり這ったりできる場合、上からものが落ちてくる危険性が低い廊下に移動するようにしましょう。また、脱出しやすい玄関も、家やマンションの中で身を守るのに適した場所です

  •  駅のホームで電車を待っているときに地震が起きたら… 日ごろ、電車を使うことが多い人は、駅のホームで地震にあうことも想定しておきたいところです。電車を待っているとき、激しい揺れに襲われた場合、どのように行動すれば自分の身を守れるのでしょうか。

    (1)停車中の電車があればすぐに乗り込む
    (2)駅の構内は危険なのですぐに階段や出口を目指す

この場合、正解は(1)です。駅のホームには掲示板や自動販売機が設けられています。大きな地震の際にはこれらが凶器になるので、持っている鞄などで頭を守り、前後左右にも十分注意しなければなりません。また、ホームから線路に転倒しないようにすることも大切です。こうしたことに注意しつつ、どういった行動を取るのが正解なのでしょうか。すぐに階段や出入り口に向かいたくなるかもしれませんが、我先に殺到すれば、極めて危険な「群衆なだれ」が起こる恐れがあります。決してあわてないで、係員の指示に従いましょう。ホームに電車が止まっている場合は、車内に緊急避難するのが最善の策。頑丈な箱の構造なので、激しい揺れのなかでも安全を保ちやすいのです。車内では、手すりや座席などにつかまってしゃがみ、揺れが収まるのを待ちましょう。

  •  地震後の回線大混雑に対応!「災害用伝言ダイヤル」の使い方 大きな地震が発生し、家族と離れ離れになった…。こうした場合、すぐに安否を確認したくても、なかなか電話がつながらないでしょう。そこで、活用するのが災害用伝言ダイヤルです。どのように利用するのがよいのでしょうか。

    (1)少し待ってから災害用伝言ダイヤルを利用する
    (2)被災後すぐに災害用伝言ダイヤルを利用する

正解は(1)です。地震後、被災地には電話が殺到し、回線が大混雑してつながりにくくなってしまうでしょう。こうした状況でも安否確認ができるようにと、各通信会社では、それぞれ独自に災害用伝言サービスを提供しています。なかでも知られているのが、NTTが運営している「災害用伝言ダイヤル(171)」です。音声を録音する伝言板で、利用の仕方は簡単。しかし、ひとつ注意点があります。一刻も早く、家族などの安否を確認したいかもしれませんが、災害後すぐには利用できないことです。利用できるのは災害後、30分ほど経過してからなので覚えておきましょう。災害用伝言ダイヤル(171)の使い方は、NTTや総務省のホームページで閲覧することができます。ほかの通信会社によるサービスもあるので、いまのうちにチェックしておきましょう。

  •  冠水した道路を歩くのに適した靴は? 集中豪雨や台風に襲われたとき、冠水した道路を避難する際には、どういった靴を履けばいいのでしょうか?

    (1)足が濡れないように長靴を履いて歩く
    (2)歩きやすいように運動靴を履いて歩く

正解は(2)です。冠水した場所を避難する場合、足が濡れると気持ち悪いからと長靴を履く人は多いかもしれません。たしかに、避難所まで浅い水深が続くのであれば、足を濡らさないで歩くことができるでしょう。しかし、より深い場所があった場合、長靴の中に水が入り込んでしまいます。こうなると、長靴が急に重たくなり、足を前に運ぼうとするたびに脱げそうになるのです。これは歩きにくいだけではなく、足をすくわれやすく、非常に危険な状況になります。避難時に履きたいのは、長靴ではなく厚底タイプの運動靴。ただし、サイズが大きめだったり、ひもが緩かったりしたら歩きにくいので、足に合ったものを履き、ひもを強く結ぶようにしましょう。また、マリンシューズは濡れても快適ですが、底が薄いのが難点。ガラスやがれきでけがをしやすいので避けるようにしましょう。

  •  台風で転倒したエアコンの室外機は? 台風の直撃を受けた場合、猛烈な風によって、ベランダや屋外に置いているエアコンの室外機が倒れてしまうことがあります。そうなった場合、どう対応したらよいのでしょうか?

    (1)自分では触らないで、業者に連絡して確認してもらう
    (2)もとの位置にちゃんと戻してから電源をオンにする

正解は(1)です。台風が直撃しそうな場合、普段ベランダや庭に置いてあるものは、できるだけ片づけておくことが大切です。とはいえ、エアコンの室外機を動かすのは無理でしょう。その結果、猛烈な風を受けて、室外機が倒れてしまうケースがあります。こうした場合、暑い季節ですと、もとの位置に戻して早くエアコンを使用したくなるかもしれませんが、自力で戻すのはやめましょう。作業をしている間、空気を冷やす働きのある「冷媒」ガスが漏れて、皮膚に凍傷を起こす恐れがあるからです。ほかにも、負荷のかかる動かされ方によって新たな破損個所が生じたり、重い室外機を動かすときにけがをしたりすることも考えられます。転倒した室外機を動かしていいのは専門業者。必ず電器店やメーカーに連絡して、作業を依頼するようにしましょう。(2020.3.4(水) 6:01配信 DIAMOND online)私たちが子供の頃に大人から教えられた災害時の行動常識も時代が変われば非常識になっていることがあります。また、昔にはなかった事柄や仕組みが作られていたりします。現代においてどのような行動が自分の命を守るためには正解なのかを改めて考えてみましょう。