北海道胆振東部地震の発生から、6日で11か月です。道内全域が大規模停電になり、私たちの暮らしが大混乱する中で命の危険にさらされたのが、高齢者や障害を抱える人たちです。あの日のような大規模停電を想定して対策を進める、福祉や医療の最前線を取材しました。

(宮本佳江さんは)

「もうバテバテですね。二人とも暑くて、夜あまり寝られなかったもんね」
母親に抱かれる、宮本実来ちゃん5歳。隣に寄り添うのは、姉の愛夕ちゃん10歳です。ふたりとも生まれつき、脳が委縮する難病を抱えているため、たんを吸引するなど、医療的ケアを必要としています。母親の宮本さんは、人工呼吸器などを使う重度の子供たち専用の施設を2年前に立ち上げました。しかし去年の停電で、電気や薬などの確保が必要だと実感したといいます。

「家族も大事な子どもを預けて心配なんだと思う。事業所としてどういうものが必要なのか考えていきたい。」
停電を教訓にして、子どもたちが長時間過ごせるように、2、3日分の薬や栄養食などを備えています。宮本さんは今月1日、新しい施設をオープンしました。災害の時に、寝泊りできるような対策も施しています。体に医療器具をつけたまま入浴できるお風呂や、吸入器や、人工呼吸器など医療器具をそろえ、カセットボンベで動かす自家発電機も備えました。

「自分の命より子供の命が心配だと、その声が切実なので電源確保は必須だなと」宮本さんは、今後、この施設を「福祉避難所」として活用できるように考えています。

「災害を想定して夜のケアにどういうものがあるのか、聞き取りしないといけない」札幌市によると、およそ250の福祉施設と協定を結んでいるものの、実際には「福祉避難所」を開設できるかどうか判断があるため、公表はしていないといいます。

「近くの福祉避難所はどこなのか聞いてみたけど、震災が起きないと教えられないと。人命を守るために情報がない、非常に不安を覚えています」今後、宮本さんは地域と連携して、この施設を災害のときに開放していきたいとしています。札幌市中央区の知的障害などを抱える人が入居する施設です。先月、新たに自家発電機を設置しました。この施設では、地震後、停電が3日間続き、入居者の生活に影響が出ました。今回、地域や電機メーカーが協力して、1週間ほど電力を賄える自家発電機を導入。給油の規制を考慮し、プロパンガスを使用する発電機です。

(光の森学園 村木靖雄理事長は)

「大型の機械が入ることで安心して学園生活を過ごせる。地域公益的取り組みの一環として、この施設を開放することを考えたい」障害を抱える人の命を守るため、地域の連携とともに、細やかな災害対策が必要とされています。(2019.8.6(火) 5:29配信 STVニュース北海道)

自宅で医療機器を装着されている方にとって停電は命にかかわる事案です。その為の対策は絶対にする必要がありますが、お金が必要です。個人レベルで活用できる助成金・補助金制度の制定が求められます。