地震や台風、集中豪雨など、あいついで日本を襲うさまざまな災害。それらに対する備えや被災時に役立つ知識などを女性目線でまとめた防災ハンドブックがあるのをご存知でしょうか?

「普段からの備え」女性目線でわかりやすく

それは、東京都が無料配布している「東京くらし防災」です。目印はピンク色の表紙で、コンパクトなB6判164ページの冊子です。東京都内の公共施設など約2000か所(2018年10月時点)に設置するほか、スマートフォンアプリ「東京都防災アプリ」(iOS、Android ともに無料)内でも閲覧可能。アマゾン「Kindle Store」などの電子書籍ストアでも無料でダウンロードできます。

内容はイラストや図をふんだんに使った親しみやすい構成。「普段からの備えが大切なことは分かるけれど、具体的にどうすればいいの?」といった疑問に応え、今すぐ簡単に始められる備えや、災害時に身を守るための知識などを分かりやすく解説しています。例えば、「大判のストールはマスクや包帯代わりに、避難所では間仕切り代わりに使える」「普段からママバッグの中身を補充しておけば、そのまま赤ちゃんの非常袋として使える」「犯罪防止のため、避難所では単独行動を避ける」など、女性の視点に立った「防災」の知識がたくさん。東日本大震災や熊本地震などの経験や被災者の声も紹介され、冊子を読み進めていくと「災害が起こるとどんな困り事が出てくるのか?」を知ることにもつながります。災害に対する想像力を働かせながら、備えの大切さを知る機会にもなるでしょう。

「東京くらし防災」は2018年3月に都内各所で設置開始。都民などから大きな反響があり、初版の95万部に加えて25万部を増刷したといいます。

防災は全ての人にとって「当たり前」

この「東京くらし防災」の作成にあたって、さまざまな分野で防災に携わる6人の女性委員からなる編集・検討委員会が開かれました。「本来、災害や防災にセクシャリティは関係なく、全ての人にとって必要なものですが、女性は特に体力面や生理・妊娠といった体の変化が男性と比べて多いこともあり、『女性目線の防災』を冊子にまとめるのはとても良いこと。この冊子には『防災に対して何をしたらいいんだろう?』と思った時にヒントになることが詰まっています。災害大国である日本では、次の災害はいつ来るか分かりません。「防災の重要度・緊急度が高まっているからこそ、『防災があたり前』の世の中をつくっていくことが大切です。

女性に「防災」を知ってもらう、その先にあるもの

東京都はこの「東京くらし防災」の配布とあわせて、女性の視点を防災活動に反映できる「女性の防災人材」を育成しようと、それぞれの自治体や企業などと連携しながら活動を進めています。なぜ女性の防災人材が必要なのか? 東京都総務局総合防災部・事業調整担当課長は次のように話します。

「過去の災害では、避難所運営などの意思決定の場に女性の声が届きにくく、避難所での着替えや授乳といったさまざまな場面で女性の視点やニーズが反映されないという課題がありました。防災活動のなかで女性の立場から声を上げていける人材が今こそ必要とされています」

東京は都心部に企業などが集中し、昼間に人口が多くなる特性があることから、女性の防災人材の育成には、「職場編」「地域生活編」のふたつの視点でさまざまなセミナーや研修会を開いていくといいます。「まず基礎的な防災の知識を学ぶセミナーを開いていきます。そこから、職場や避難所などでの多様なニーズへの対応へとステップアップしていきます。数年をかけてしっかりと取り組んでいきたいと思います」(担当者)

女性の防災人材を育てる活動には、「防災に女性目線が必要だということを、男性にも知ってもらいたい」という思いも込められているといいます。いつ来るかわからない防災への備えは待ったなし。誰でも気軽に手に入れられる「東京くらし防災」は、自分自身と自分の大切な人を守るために行動を始めるきっかけになるでしょう。(2019.4.4(木) 11:30配信 URBAN LIFE METRO)

防災対策を考える時、女性目線は非常に重要です。少し前の時代の防災対策は男性目線である事が多く、避難所生活を送る中で女性を含む子供や高齢者の方にとっては生活しずらい環境である事が多くありました。しかし現代では女性の意見を多く取り入れ環境が整備されるようになっています。しかしまだまだの部分は数多くあります。誰でも安心して避難所生活をおくれる環境を一日でも早く整備できるような防災対策であってほしいと思います。