都市部を中心にマンションが増え、快適な生活環境を維持していくために、共同でマンションを維持管理していかなければならない人が増えています。

管理組合の理事が中心となって維持管理に努めていますが、マンション管理のプロではないので、悩むところも多いようです。

災害への備えや管理組合で加入する保険についても何が最適なのか判断が難しいところです。そこで、公的な調査からマンションではどのようにしているのか、様子を確認してみました。

44%のマンションが防災訓練をしている

阪神・淡路大震災(1995年)や東日本大震災(2011年)を経験してきたことで、私たちの防災意識はかなり高まり、多くのマンションでも大災害への備えをしています。ただ、備え方はマンションによってかなり異なります。国土交通省の「平成30年度マンション総合調査」から、大規模災害への対応状況の結果をグラフにしてみました。

災害への備えを何もしていないマンションが23.4%、不明のマンションが4.4%ありますが、それ以外の約7割のマンションでは何らかの備えをしています。

その中で最も多いのは「定期的に防災訓練をしている」の44.1%で、次の多いのが「災害時の避難場所を周知している」の30.3%、その次が「防災用品や医療品・医薬品を備蓄している」の20.3%となっています。

防災訓練は筆者も参加したことがありますが、実施しないよりはした方が当然良く、訓練することで住民同士の連帯感も高まります。一度だけでなく毎年のように何度も繰り返すことで、体で覚えることができるでしょう。

防災用の医療品・医薬品や非常食・飲料水等は確実に備えておきたいところですが、管理組合で備えるのではなく、住民が個々に備えるべきという意見もあります。備蓄しておく場所を確保できないマンションもあります。

防災名簿の作成については、個人情報を開示したくない人がいると難しくなります。選択肢にある全ての備えができれば理想的ですが、実際にできる範囲で備え、いざという時に役に立つよう、日頃から心掛けておきましょう。

半数近いマンションでは地震保険にも加入している

災害への備えは防災訓練なども大事ですが、経済的な面から損害保険に加入しておくことも非常に大事です。ほとんどのマンションでは何らかの損害保険に加入していますが、災害への備えと同様に、マンションによって備え方はかなり異なります。先ほどと同じ国土交通省の「平成30年度マンション総合調査」から、加入している損害保険についてもグラフにしてみました。

マンションの管理組合が加入している損害保険で比較的多いのは、「掛け捨て型火災保険」「地震保険」「施設所有者・管理者賠償責任保険」「個人賠償責任保険」の4つです。

火災保険は掛け捨て型と積み立て型を単純に足すと91.3%の加入率になりますが、重複回答有りなので、加入していない管理組合が一定割合存在していると考えられます。戸建てなら自己責任で加入しない人がいても不思議ではないですが、共同の住宅であるマンションで火災保険に加入しないのは、どのような経緯からなのか、とても気になるところです。

地震保険の加入率は48.1%で、半数近いマンションの管理組合が加入しています。東日本大震災等の怖さを考えれば、低いと感じる人もいるかもしれませんが、昨今の保険料上昇により、管理組合が気軽に負担できる保険料水準でなくなっていることも理由としてありそうです。

個人賠償責任保険は48.8%で掛け捨て型火災保険の次に高い加入率ですが、防災備品と同様に、管理組合で加入するのではなく個々で加入するべきとの意見もあります。

マンションは一般的に戸建てに比べて頑丈にできていますが、大規模な地震や火災があれば被害を受ける可能性はあります。災害が起きた時に困ることのないよう、防災訓練等で意識を高め、損害保険に加入して安心できる備えをしておきましょう。(2019.7.31(水) 20:12配信 ファイナンシャルフィールド)

マンションは集合住宅であることから小さな一つの自治会と同じです。多くの人が一つ屋根の下で暮らしているわけですから、防災対策も総合的に考える必要があります。防災ハード対策・防災ソフト対策・防災意識向上対策の3つをバランスよく総合的に行わなければいざという時に準備していることが機能しないという事態に陥る可能性があります。